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【国際】

メーカー奮起を 中国全人代 日本製品「爆買い」怒りと嘆き

 【北京=秦淳哉】開会中の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で中国人の「爆買い」をめぐる議論が沸騰している。背景には中国人の旺盛な購買力を国内に取り戻したい政府の思惑がある。経済の鈍化が進めば、景気低迷や失業者増加を招き、政権批判につながりかねない。政治体制の不安定化を招く恐れもあり、政府は自国製品の品質向上とブランド化にも力を入れる。

 爆買い議論の口火を切ったのは、全人代代表で家電大手「格力電器」会長の董明珠氏。六日に北京でメディアの取材を受けた董氏は、日本製品を念頭に「中国に多くのメーカーがあるのに電気炊飯器一つまともに作れない」と国内メーカーの奮起を期待。国外まで炊飯器を買いに行く状況に「非常に憤慨している」と怒りをあらわにした。

 炊飯器は八日の広東省分科会でも話題に上った。通信機器メーカー「小米科技」の創業者、雷軍氏は「詳しく研究したが国内メーカーはまねできない。口に含んだ感触は素晴らしい。コメが炊飯器の中で踊っているようだ」と日本製を称賛。理由は日本メーカーが持つ特許にあると説明した。

 製薬会社「吉林敖東薬業集団」の李秀林会長も「中国には製薬会社が六、七千社あるが、国内のニーズに応えていない。中国人旅行者は日本に行って目薬や風邪薬を買っている。深く反省すべきだ」と述べ、中国製品を世界水準に引き上げる必要性を強調した。

 一連の発言には中国人自身が中国製品への信頼を持っていないことへの危機感がある。二〇一五年に国外を訪れた中国人観光客は一億二千万人、観光消費額は千四十五億ドル(約十一兆九千億円)に上った。中国は経済成長の伸び悩みを受け、不採算の国有企業を整理し、投資や輸出主体から消費中心の経済構造へ転換を図るが、爆買いが国内消費低迷の象徴となっている。

 李克強首相は一月に山西省を視察した際に「わが国ではボールペンのボールを生産する能力さえなく輸入品に頼っている」と発言。輸出製品にはオリジナルブランドが少なく、品質も先進国に及ばない。中国政府は自国製品を「量から質へ」と転換させるために「中国製造2025」を掲げて製造強国を目指し、消費重視の一環として国産品のブランド化に取り組む。

 五日の政府活動報告では李首相が爆買いを意識し、国内関税の引き下げや免税店増設にも言及した。爆買いをめぐる議論は中国経済の危機感を反映している。

 

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