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【国際】

米、難民受け入れ停止 「今後、悲しい思いする人増える」

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 ソマリア出身の大学生スード・オラットさん(25)は米ミネソタ州で昨年十二月、ケニアの難民キャンプから渡米した父、母、兄の家族三人と五年ぶりに再会した。それからわずか一カ月後。大統領に就任したトランプ氏は全ての難民受け入れを停止した。オラットさんは「自分たちは幸運だったが、今後は悲しい思いをする人が増える」と影響を懸念する。 (ニューヨーク・北島忠輔)

 オラットさん一家はイスラム教徒。一九九〇年代、内戦下のソマリアから隣国ケニアの難民キャンプに入った。「屋根のない監獄だった。三日間、食べるものがないこともあった」。オラットさんに転機が訪れたのは二十歳の時だった。

 「申請から六年待って、米国の移民当局から、自分だけ移住が認められた」。キャンプに残った家族の渡米が決まったのはさらに四年が過ぎた昨年秋だった。

 オラットさんは喜んだが、同時に不安も募った。ちょうどそのころ、米国は「イスラム教徒はテロリスト」「難民の受け入れを停止する」と訴えたトランプ氏を大統領に選んだからだ。

 祖国ソマリアでは、イスラム過激派組織「アルシャバーブ」によるテロが続く。オラットさんは「国に戻ると、いや応なしにテロ組織に入れられる。そんな状況から逃れてきた難民をテロリスト扱いするなんて」と反発する。

 そのトランプ氏の就任前に、家族と再会できたオラットさんは「幸運だった。喜びの分だけ、今も難民生活を送る仲間の苦しさを感じる」とも漏らす。

 今はミネソタ州ミネアポリスの難民支援団体で働きながら、大学で医療技術を学ぶオラットさん。周りには、調理師や運転手、教師などになって米国に懸命に溶け込もうとする住民たちがいる。海の向こうには、かつての自分のように新天地を求める仲間がいる。

 そんな人たちを「敵」に見立て、排除や監視を主張する大統領が率いる米国。「イスラム世界との関係が悪くなるだけだ」とオラットさんは心配している。 

 

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