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【国際】

IMF爆発 ギリシャ極左関与か 緊縮要求に複数組織反発

 【パリ=渡辺泰之】国際通貨基金(IMF、本部米ワシントン)のパリ事務所で十六日に郵便物が爆発し女性職員が負傷した事件は、ギリシャの極左・アナキスト(無政府主義者)組織が捜査線上に浮上している。犯行の動機は明らかでないが、欧州メディアは、事件の背景として、債務危機を受けIMFや欧州連合(EU)がギリシャ政府に緊縮策を求めてきた経緯を指摘している。

 IMF事務所の爆発現場からはギリシャの切手の破片などが見つかっており、郵便物の発送元がギリシャである可能性が高いとされる。さらに爆発前日の十五日には、ドイツでショイブレ独財務相宛ての爆発物入り小包が発見され、ギリシャのアナキスト組織「炎の陰謀中核(SPF)」が犯行声明を出した。SPFはこれまで内外の機関などを標的にテロ行為を繰り返しており、仏当局はIMF事務所の爆発にも関わった可能性があるとみている。

 欧州メディアや日本の公安調査庁のウェブサイトによると、SPFの活動が顕在化したのは二〇〇八年。この年の十二月にアテネで十五歳の少年が警官に射殺され、全土で抗議行動が起きた時期と重なる。

 〇九年にギリシャの財政危機が表面化した後、SPFは一〇年十一月、アテネの外国大使館などを標的とした小包爆弾送付未遂事件を起こした。国外にもテロの対象を広げ、ドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ前大統領、EUのバローゾ前欧州委員長らを狙い、爆発物入り郵便物を送付している。

 一一年に十人前後の構成員が逮捕され一時活動が下火になったが、一四年に活動再開を表明し、六月にアテネで刑務所幹部の自動車を爆破(一人負傷)。昨年十月にはアテネで検察官の自宅のある建物を爆破(けが人なし)した。

 英紙ガーディアン(電子版)は、ギリシャへの新たな融資を巡る協議が続く中で、最近IMFによる緊縮要求に対しギリシャの複数のアナキスト組織が批判を強めていると報じている。

 <アナキスト> アナキズム(無政府主義)は「支配がない」という意味のギリシャ語が語源。国家や権力を有害と否定し、自由・平等・協力などに基づく社会の「支配者なし」での実現を目指す。近代のアナキズムは、資本主義の発展に伴う経済・社会的な不平等や自由の抑圧を受けて18〜19世紀に登場した。20世紀のマルクス主義によるロシア革命や、欧州での福祉国家の発展とともに、アナキズムは後退した。ギリシャでは爆弾事件などのほかに2015年4月、IMFやEUなどとの債務交渉を担当していたバルファキス財務相(当時)が、アテネのレストランで自称アナキストらにガラス製品を投げ付けられた。

 

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