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【国際】

イラン大統領選あす投票 制裁解除の恩恵 市民は実感薄く

テヘラン中心部のモスクでライシ師に声援を送る支持者たち=16日、奥田哲平撮影

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 【テヘラン=奥田哲平】十九日投票のイラン大統領選では、欧米などとの二〇一五年の核合意により経済制裁が解除されて以降の経済政策を、有権者がどう評価するかが焦点の一つだ。市民から生活が好転したとの声は聞かれず、失業率も約11%と高止まりの状況。「景気回復の公約を実現できていない」と失望し、保守穏健派ロウハニ現大統領(68)から対抗馬の保守強硬派ライシ師(56)に支持を替える有権者も出ている。

 二百年以上の歴史を持つテヘラン中心部の市場「グランドバザール」。強硬派がライシ師に候補者を一本化した翌日の十六日、両替商の男性(50)は「安定資産としてドルを買う人が増えた」と明かした。

 前日に一ドル=三万七六〇〇リアルだったのが約二〇〇リアル下がったという。通貨リアルとドルの市場レートは世相を敏感に反映する。強硬派が政権を奪えば対米関係が悪化し、リアルのいっそうの下落を招くとの警戒感が広がっている。

 一六年一月に制裁が解除されて以降、イランは原油生産が制裁前と同水準の日量三百八十万バレルまで回復。人口約八千万の巨大市場を狙った外国企業が投資機会をうかがっており、フランスの大手自動車メーカーも今月、生産を開始した。

 だが、バザールのじゅうたん販売店のナセル・アジームさん(44)は「輸出が主だが、景気は良くない」という。米国の独自制裁が続き、ドル決済が困難で取引が進まないのだ。

 選挙戦では、ライシ師がロウハニ政権の経済政策を「失政」と批判。十六日のライシ師の支援集会に来たプラスチック販売店経営のテイラニさん(32)も「四年前の期待が裏切られた。この四年間で売り上げが八割ほどに減り、同業者も店を畳んでいる」と嘆いた。

 一方、テヘラン中心部の衣料品卸ハドバンドさん(47)は「今の景気低迷はロウハニ政権のせいではなく、前大統領の負の遺産だ」。アハマディネジャド前政権下では、制裁により通貨価値が下落。インフレ率は一三年に40%を超えた。一六年は9%に抑制され「原料の仕入れ値が安定し、見通しが立つのがうれしい」とハドバンドさん。「景気回復には時間がかかる。再びチャンスを与えた方がいい」とロウハニ師への期待を口にした。

 

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