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【国際】

劉氏海葬、2日で幕引き 中国当局 墓の「聖地」化警戒か

15日、劉暁波氏の「海葬」に参列した妻の劉霞さん(右)=中国瀋陽市当局提供(共同)

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 【瀋陽=浅井正智】中国のノーベル平和賞受賞者で十三日に死去した劉暁波(りゅうぎょうは)氏の長兄、劉暁光(ぎょうこう)さん(68)が十五日、遼寧省瀋陽市のホテルで記者会見し、同日昼ごろ遺骨を入れた骨つぼを海に沈める「海葬」を行ったことを明らかにした。遺骨を墓に埋葬すれば民主活動家らの「聖地」になることを警戒し、当局が海葬にした可能性がある。死去から丸二日で、遺体の全処理を終え、早期の幕引きを図ったことは、中国当局がいかに劉暁波氏の影におびえているかを物語る。

 暁光さんによると、数年前にいとこの女性が肝臓がんのため死去した際、海葬を行ったことがあり、以来「弟も自分が死んだ時には海葬を希望していた」という。遺族を代表して暁光さんが海葬を申請し、最終的には親族全員が同意のサインをしたとされる。

 海葬には劉暁波氏の妻、劉霞(りゅうか)さん(56)や暁光さんら遺族や友人らが参列。正午ごろ、海上で遺骨の入った骨つぼや白や黄色の菊の花びらを海に投じた。

 この日、二回行われた記者会見で、市当局は葬儀と海葬の写真や動画を公開。当局の監視下で、限られた遺族だけが参列を許された様子が一目瞭然だった。

 劉氏の義兄は、自宅がある北京での埋葬を望んでいたとされるが、希望は聞き入れられなかった。

 暁光さんは会見で、弟の末期がん治療について「共産党と政府に感謝したい。人間本位と人道主義を見た」「社会主義の優位性を示した」と繰り返し語った。政府が自賛する際の表現と同じで、明らかに不自然な言葉だ。暁光さんの隣には市当局者が座り、質問も受け付けなかった。発言内容は事前に当局のチェックを受けていたとみられる。

 劉霞さんが会見場に現れなかった理由について、暁光さんは「体が弱っている」と述べたが、当局批判をしかねない劉霞さんの出席を当局が認める可能性は初めからなく、言いなりになる遺族を出席させた印象は拭えない。

 今後の焦点は、法的根拠もなく長期間にわたって自宅軟禁されている劉霞さんの出国を認めるかどうかだ。米国とドイツは受け入れの意向を示しているが、中国外務省の報道官は「法律に基づいて処理する」と建前論を語り、慎重な姿勢を崩していない。

 出国を強く求める国際世論と、劉霞さんが海外で発言するリスクをどう見極めるのか、中国政府は再び頭を痛めることになる。

 

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