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【国際】

安保理、初の石油規制 対北制裁 全会一致で決議

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 【ニューヨーク=東條仁史】国連安全保障理事会は十一日、北朝鮮による六回目の核実験強行を受け、新たな制裁決議案を全会一致で採択した。当初案では全面禁輸とし焦点となっていた原油と石油精製品については、それぞれ輸出量に上限を設ける内容に後退したが、安保理決議で初めて石油の規制に踏み込んだ。決議を作成した米国が、北朝鮮の後ろ盾である中国、ロシアに譲歩したことで中ロ両国とも賛成に回り、三日の核実験から約一週間後のスピード採択となった。

 採択後、米国のヘイリー国連大使は「かつてない強力な決議だ。危険な道を続けるなら、さらに圧力をかける。選択するのは北朝鮮だ」と強調。日本の別所浩郎(こうろう)国連大使は「北朝鮮に挑発的態度を変えるよう促す緊急の要請だ」と訴えた。

 北朝鮮への原油供給は過去一年間の実績を上限とし、現状維持を認める内容となった。ガソリンなど石油精製品は来年以降、年間二百万バレルを上限に設定。米政府によると、北朝鮮は年間約八百五十万バレルの原油と石油精製品の供給を受けているが、決議により石油精製品については北朝鮮の輸入量四百五十万バレルの55%が削減されると見込まれる。コンデンセートと呼ばれる軽質原油と、天然ガス液は全面禁輸とした。

 米国作成の当初案はこれら四項目を全面禁輸にしていたが、原油禁輸に踏み切れば北朝鮮の国民生活を直撃するため中国側が難色を示し、米国が歩み寄った。

 さらに金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の資産凍結・渡航禁止措置は見送られた。中ロ両国など海外で働く北朝鮮労働者に就労許可を与えることを禁止する一方、決議採択前に書面による契約がある場合は適用外とした。

 当初案では、安保理の制裁委員会が指定した貨物船に対し、公海上で加盟国に臨検することを認めていたが、船籍国の同意が必要との文言が加わった。

 一方、北朝鮮の主要輸出品である繊維製品については、当初案通り全面禁輸とした。米政府によると、北朝鮮の繊維製品の輸出額は七億六千万ドル(約八百三十億円)程度という。

◆米採択優先 中ロに譲歩

<解説> 国連安保理が十一日に採択した北朝鮮の追加制裁は、強硬な措置を主張する米国と制裁に消極的な中国、ロシアが折り合う形で全会一致の決議にこぎ着けた。米国が求めた原油の全面禁輸は大幅な譲歩を余儀なくされ、ヘイリー米国連大使が目指した「最強の措置」は軌道修正された。米国が決議採択を優先した結果だ。

 安保理外交筋によると、米国は今回、中国と数週間から数カ月がかりで事前協議を重ねて決議案を取りまとめる従来の交渉手順を見直した。核実験翌日の緊急会合で追加制裁を主張した二日後、全加盟国に決議原案を提示。米当局者は「最強の措置を盛り込んだ原案を公然化し、圧力をかける狙いだった」と語る。

 ただ、効果のほどは不明だ。そもそも原油の全面禁輸は市民生活への影響も懸念され、「安保理決議になじまない」(安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル元メンバーの古川勝久氏)と懐疑的な見方もあった。中ロは最終的に決議に賛成したが、「これ以上の制裁は人道上の深刻な危機を引き起こすことになる」(ネベンジャ・ロシア国連大使)とくぎを刺した。

 制裁決議は九回目。今後さらに北朝鮮が核実験やミサイル発射を強行すれば「より重大な措置を取る」と警告している。一方で、圧力強化にあらがって核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し、安保理に残された選択肢は少なくなり、手詰まり感も強まっている。 (ニューヨーク・赤川肇)

 

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