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【国際】

きょうクルド住民投票 経済面の孤立 不安

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 【アルビル(イラク北部)=奥田哲平】二十五日の住民投票に向け、イラクからの分離独立の機運が高まるクルド人自治区。自治政府のバルザニ議長は二十四日に記者会見し「最も民主的に自分たちの未来を決める」と主張した。しかし足元では、二〇一四年以降の経済危機が市民生活に影を落とす。野党の一部からは、住民投票が政権批判をかわすために利用されているとの指摘もある。

 自治区東部スレイマニヤの中心部。工事が途中で止まった建築現場が目立つ。「周辺国から締め付けられればクルドは崩壊する。投票している場合ではない」。反対票を投じるつもりの家具店経営のホスワールさん(41)はぶぜんとする。

 自治区は〇三年のイラク戦争後も治安が安定。トルコや湾岸諸国からの投資で好景気に沸いた。一二年の実質経済成長率は12%。しかし原油価格下落で石油依存の経済は打撃を受け、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦の戦費拡大が追い打ちを掛けた。平均月収は一二年から半減し、失業率は6%から13・3%に上昇。公務員の給与支払いが滞り、今年に入って抗議デモが起きた。

クルド人自治区東部スレイマニヤの家具店で、客を待つホスワールさん=奥田哲平撮影

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 主要貿易相手国のトルコとイランは住民投票に反発し経済封鎖もちらつかせる。日用品のほとんどを輸入に頼るだけに、孤立化すれば影響は避けられない。

 「バルザニ議長はクルドに新たな紛争を持ち込み、直面する内政の課題への批判から目をそらせようとしている」。テレビ局や建設会社を経営するカディル氏(39)は住民投票を疑問視。自治政府トップのバルザニ氏は一五年に任期が切れた後もISとの戦闘を理由にとどまり一五年以降は議会も休止状態だ。バルザニ氏一族は、おいが首相を務めるなど政財界を牛耳る。

 バルザニ氏は住民投票に続き、十一月に議長選と議会選を実施すると表明。自らは身を引く代わり、情報機関トップを務める息子に禅譲する思惑もあるとされる。イラクの政治評論家ハーフェズ・ビシャラ氏は「住民投票を使って選挙運動しているようなもの。一族の権力維持が本当の目的ではないか」とみる。

 

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