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【国際】

「クルド独立」賛成9割超 周辺国反発、新たな火種

25日夜、アルビル中心部に繰り出し、住民投票の結果を祝うクルド人たち=奥田哲平撮影

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 【アルビル(イラク北部)=奥田哲平】イラクからの分離独立の是非を問うクルド人自治区の住民投票は二十六日、開票作業が進み、地元メディアの途中集計では賛成票が九割を超えた。投票に猛反発しているトルコなど周辺国は制裁措置に踏み切った。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討が進む中東地域に新たな不安定要因が生まれた。

 「バイバイ、イラク」。自治区の中心都市アルビルにある世界遺産の城塞(じょうさい)周辺では二十五日夜、投票を祝う市民が集まり、車から身を乗り出して赤白緑の旗を振り続け、花火があちこちで上がった。弟を一九八〇年代に旧フセイン政権との戦闘で失った画家ベルダウィさん(56)は「何十年も、この瞬間のために戦ってきた」と涙を浮かべた。

 独立国家の樹立は、少数民族として迫害されてきたクルド人の悲願。投票はその一歩を踏み出した形だが、市民の歓喜とは裏腹に周辺では緊張が高まる。クルド系住民を抱える周辺国は独立運動の波及を恐れており、トルコとイラン、イラクはそれぞれ軍事演習を実施。国境封鎖などの対抗措置に動き始めた。

 トルコのエルドアン大統領は二十五日、「全ての選択肢が机上にある」と述べ、自治区との原油パイプラインの遮断も示唆。歳入の八割を石油関連で占めるクルド自治政府は、原油の大半をトルコに輸出している。実行されれば経済的打撃は計り知れない。

 住民投票に法的拘束力はなく、今後はイラク政府との独立交渉が必要だ。自治政府はIS掃討作戦での成果と独立への強い決意を国際社会にアピールし、味方に付ける狙いだった。しかし、長年友好関係にある米国でさえ、IS掃討やイランへの対抗勢力として「統一されたイラクを望む」(大統領報道官)と不安定化に懸念を示した。グテレス国連事務総長も声明で対話と妥協の必要性を訴えた。

 自治政府トップのバルザニ議長は、二年ほどかけてイラク政府と交渉を続ける予定だ。しかし、イラクのアバディ首相は二十五日夜、「対話する用意はない。なぜなら憲法違反だからだ」と交渉を拒否した。

 

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