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【国際】

逃亡前首相に禁錮5年判決 タイ最高裁、職務怠慢罪

インラック前首相=ロイター・共同

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 【バンコク=山上隆之】タイの最高裁は二十七日、国に巨額の損失を与えたとして、職務怠慢の罪に問われたタイのインラック前首相(50)に禁錮五年の実刑判決を言い渡した。インラック氏は収監を恐れて国外逃亡したとみられ、本人不在の判決公判となった。インラック氏は農村部で人気の高いタクシン元首相の妹。来年後半にも実施される総選挙に向け、タクシン派にとって、大きな痛手となりそうだ。

 判決によると、インラック氏は事実上のコメ買い上げ制度によって、国に日本円で総額約一兆円以上の損害を与えたと認定。適切に対応しなかったのは職務怠慢に当たるとした。インラック氏側は「農家支援の有益な政策だ」と無罪を主張していた。インラック氏の弁護人は今後について「検討する」と述べるにとどめた。

 タイでは、コメ農家など地方の低所得者層を支持基盤とするタクシン派と、軍部や都市部のエリート・中間層に支持される反タクシン派の対立が続く。公約にコメ買い上げ制度を掲げて二〇一一年の総選挙で圧勝したインラック氏に対して今でも感謝の言葉を口にする支持者は少なくない。

 その半面、コメ買い上げ制度の副作用で、コメ市場はだぶつき、米価は低迷。皮肉にも農家を苦しめる結果となった。

 ただ、国民が選挙で選んだインラック氏の「失政」の責任を刑事罰で問うことについて、専門家などに疑問の声もある。ある政治学者は「判決が確定すれば、他の政治家が思い切った政策に踏み切れず萎縮する。対外的なイメージ悪化も避けられない」と懸念する。

 インラック氏の居場所については、タクシン氏が拠点とする中東ドバイのほか英国に渡った可能性も指摘されている。プラユット暫定首相は二十六日、「所在は分かっており、判決後に公表する」と述べている。

 

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