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【国際】

クルド孤立化図る イラクと周辺国、空路封鎖など制裁

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 【カイロ=奥田哲平】イラク北部のクルド自治政府が住民投票を強行し、独立賛成派が勝利したと宣言したのを受け、クルド人自治区の空域を管理するイラク中央政府は九月二十九日、制裁措置として国際線発着を禁止した。自治区に乗り入れていた外国航空会社は禁止措置に従い、全便の運航を停止した。ロイター通信によると、イラク政府は隣国のトルコやイランと協力して自治政府が持つ国境検問所を管理下に置く計画を検討しており、陸路も閉ざされれば、海に面していない自治区の孤立が一層進むことになる。

 中央政府は二十九日夕を期限に、自治区の中心都市アルビルとスレイマニヤの空港の管理権移譲を求めていたが、自治政府が拒否した。ただ、イラクのアバディ首相は「住民に対する罰ではない」と主張し、過激派組織「イスラム国」(IS)から逃れた難民への人道支援や軍事関連の航空機は受け入れる方針だ。

 周辺のトルコ、イラン、シリアは、自国内にそれぞれ少数派としてクルド人を抱えており、独立の動きに警戒を深めている。

 AFP通信は三十日、イランがイラクのクルド人自治区との石油製品の輸出入を停止したと報道。ロイター通信によると、トルコのエルドアン大統領も二十五日、トルコ国内を通じて自治区から欧州へ輸出する石油パイプラインを遮断する可能性を示唆している。

 だが、経済発展が著しいイラクのクルド人自治区は周辺国にとって有望な市場だけに、自治区の孤立をさらに進めることは経済的マイナスになりかねない。年約八十億ドル(約九千億円)を輸出するトルコのユルドゥルム首相は「住民に国民投票の代価を支払わせることはしない」と語った。

 一方、ティラーソン米国務長官は「投票結果は正当性に欠ける」と、対話を求めた。マクロン仏大統領は五日にアバディ氏を招き、緊張緩和へ仲介に乗り出す。

<クルド人> イラク、トルコ、イラン、シリアにまたがる山岳地帯などに住む民族。総人口は2千万〜3千万人。「国家を持たない最大の民族」とされるが各国では少数派。主にクルド語を話し、大半はイスラム教スンニ派。第1次大戦で中東を広く統治していたオスマン帝国が敗れ、1920年のセーブル講和条約にクルド国家樹立が明示されたが、3年後に同条約は破棄、新たに結ばれたローザンヌ条約では触れられず、独立は立ち消えになった。イラクでは92年、米英の保護下で北部に自治区が誕生し、2005年制定の憲法で自治政府樹立が明記された。 (共同)

 

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