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【国際】

「被爆者全員への平和賞」 核の傘に頼るということは、自分も核の標的になるということ

6日、インタビューに応じるICANのベアトリス・フィン事務局長=共同

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 【ジュネーブ=共同】ノーベル平和賞受賞が決まった国際非政府組織(NGO)、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))のベアトリス・フィン事務局長(34)は六日、ジュネーブで共同通信の単独インタビューに応じ「広島、長崎の被爆者全員へも与えられる賞だ」と述べ、核兵器禁止条約制定に果たした被爆者の貢献を改めて強調した。衆院選(十日公示−二十二日投開票)で「核禁止に関する議論が大きな争点になることを期待する」と語り、被爆国日本の条約参加を強く求めた。

 二〇〇七年にオーストラリアで設立されたICANについて、フィン氏は「われわれは被爆者の話を聞くことから活動を始めた。それがベースだった」と説明、被爆者全員が賞にふさわしいと考えていると語った。

 ICANの活動に協力してきたカナダ在住の被爆者、サーロー節子(せつこ)さん(85)について「広報担当役として重要な役割を果たしてきた」と評価。世界中を旅して被爆体験を話すという困難な仕事を続け「私が知る最も勇敢な人物だ」とたたえた。

 フィン氏は、日本は米国の「核の傘」の下にあり米国に守られていると考えているが「本当に安全だと思っているのか」と問い掛けた。核抑止力に頼るということは「自分も核兵器の標的になるということだ」と述べ、核兵器は決して国家に安全を与えないと力説した。

 その上で、ICANの平和賞受賞決定が、日本政府が条約反対の姿勢を変えて署名へと進む契機になってほしいとし、衆院選で「核兵器を取るのか、禁止に向かうのか選択できるよう」議論してほしいと話した。

 フィン氏は一九八二年、スウェーデン・イエーテボリ生まれ。NGO「婦人国際平和自由連盟」で人権活動家としてスタートしたが、軍縮問題に関心が強く、ICANに移り事務局長に就任した。

6日、米ニューヨーク近郊の空港で、受賞決定の喜びを語るICAN国際運営委員の川崎哲さん=東條仁史撮影

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◆核禁止条約署名 衆院選で議論を

 【ニューヨーク=東條仁史】ICANの川崎哲(あきら)・国際運営委員(48)は六日、ニューヨーク近郊の空港で報道陣の質問に答え、「核廃絶を訴えてきた人たち、とりわけ勇気を奮って核兵器の恐ろしさ、非人道性を訴えてきた広島と長崎の被爆者の皆さんへの賞だ」と喜びを語った。

 日本政府が核兵器禁止条約に署名しない方針を明確にしていることについて、川崎氏は「(受賞は)核保有国と、核の傘に依存している国々にも参加するようにというメッセージだ。日本政府は方針の見直しや、再考を余儀なくされる」と指摘。二十二日投開票の衆院選を踏まえ「条約に署名するのか、しないのか、全ての政党が政策として議論してほしい」と要請した。

 ノーベル賞委員会が授与理由の説明で、北朝鮮の「核の脅威」に直接言及したことについては「問題解決への道筋を示した」と評価した上で「北朝鮮だけに核開発中止を強制しても無理。米国や核兵器に頼る日本も含め世界の国々が核兵器をなくすことによってのみ解決できる、という方向性を委員会が示した」と語った。

 核兵器禁止条約は今年七月、百二十二カ国の賛成で採択されたが、賛成国の多くは未署名。川崎氏は「条約の名前も意義も知られていないのが現実だが、受賞によって、より幅広い市民と一緒になって盛り上げていくきっかけをもらった。各国の政府にも署名、批准を呼び掛けていく」と語った。

 川崎氏は、アイスランド・レイキャビクで開かれる反核イベントに出席するため、経由地のニューヨーク近郊のニュージャージー州に立ち寄った。受賞決定の朗報は米国に向かう機中で知ったという。

 

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