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【国際】

北制裁で海産物の輸入ストップ 中国の店閑散、影響鮮明

北朝鮮からの海産物の輸入が止まり、人通りもまばらな琿春の「海鮮通り」=浅井正智撮影

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 【琿春(こんしゅん)(中国吉林省)=浅井正智】核・ミサイル開発を強行する北朝鮮に対し、国連安全保障理事会が採択した経済制裁の影響が、中国内にも広がっている。北朝鮮からの海産物の輸入がストップした中朝国境の街・琿春では、閉店に追い込まれる店が増えていた。今後の見通しを店員に尋ねると「金正恩(キムジョンウン)に聞いてくれ」と、北朝鮮の最高指導者への恨み節も飛び出した。

 吉林省の延辺朝鮮族自治州にある琿春は、北朝鮮だけでなくロシアとも国境を接する。十軒以上の海産物店が軒を連ねる「海鮮通り」は、以前と異なり閑散としていた。中国政府が国連制裁に従い、八月十五日から北朝鮮産の海産物輸入を禁止したためだ。

 カニを扱う店が開いていた。女性店員は「制裁の影響で北朝鮮産のカニは全く入ってこなくなった」と嘆く。水槽のタラバガニやズワイガニは全てロシア産だ。「北朝鮮のズワイガニは一キロ百二十元(約二千円)だったのに、ロシア産にしたら倍に跳ね上がった」

 北朝鮮の羅津(ラジン)に向かう琿春の税関では、北朝鮮にビールを運ぶトラック運転手が通関待ちをしていた。

 「いま北朝鮮から入ってくる物はイモと山菜くらい。中国政府がここまで本気でやるとは思わなかった。一〜二年は様子見だよ」とさえない表情。「丹東には海産物が密輸されているけどね」ともつぶやいた。

 北朝鮮からの輸入が激減する一方、琿春の西隣、図們(ともん)の税関前にはトラックが列をなす。コメや薬品、日用品を運んでいるとみられ、民生品の物流は影響を受けていないことが分かる。

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 国境を流れる川、図們江では新たな橋の建設が進んでいた。工事関係者は「今の橋は片側一車線だが、来年完成する橋は片側三車線になる」と教えてくれた。

 完成すれば、往来や物流がむしろ活発になる可能性も。厳しい態度で経済制裁に臨みながらも、北朝鮮との関係を断ち切りたくない中国側の思惑も透ける。

 三千人の北朝鮮人が働くとされる図們経済開発区では午前六時すぎ、女性たちが隊列を組んで出勤する姿が確認できた。縫製や製材工場で働いているようだ。

 九月の追加制裁で、北朝鮮が外貨獲得の手段にする出稼ぎ労働者の新規雇用は禁止された。自治州当局者は「北朝鮮人の労働許可や更新手続きは停止した」と明言。女性たちは三年間の雇用契約の終了後、帰国を余儀なくされる。低賃金で雇用できた北朝鮮の労働者が去れば、恩恵を受けてきた中国企業へのダメージも一層広がることになる。

 

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