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【国際】

習「党主席」あるか 制度復活に抵抗感 強まる崇拝も懸念

 【北京=秦淳哉】中国共産党大会の開幕を十八日に控え、「党主席制」が復活するかどうかに注目が集まっている。過去に毛沢東(もうたくとう)が就いていたポストは、権力の集中を招いた反省から廃止された。復活により、習近平(しゅうきんぺい)総書記(国家主席)に対する個人崇拝が強まることも懸念されている。

 十四日閉幕の第十八期中央委員会第七回全体会議(七中全会)では、党規約を改正し、習氏の指導理念「治国理政」を新たに書き込む方針を確認。主席制復活は権威の確立によって習氏の権力基盤をさらに強化し、「一強体制」を盤石とする狙いとみられる。

 毛沢東は一九四五年から死去する七六年まで党主席に就いた。無理な計画で経済発展を推し進めようとした五〇年代後半からの「大躍進」が失敗して国家主席を退いた後も党主席にとどまり、六六年に始まった「文化大革命」を主導。社会的混乱を招いて、多くの犠牲者を出す悲劇となった。

 死後、毛沢東の評価は「功績が過失よりもはるかに大きい」と結論付けられたが、この時の反省を踏まえ、八二年の党大会で党主席制を廃止した後は集団指導体制に移行。現在、最高指導部を構成する政治局常務委員(七人)の会議では、一人一票の原則による多数決で意思決定されている。

 国家主席の任期は憲法で二期(十年)と定められている。習氏が新たに党主席の地位に就けば、退任後も影響力を維持することが可能だ。六月の香港での閲兵式や、七月の人民解放軍の建軍九十年を記念する閲兵式の際には、過去に使用された「首長」に代わって「主席」の呼称が使用され、主席制復活の「地ならし」だったとの見方もある。

 習氏は昨年十月に党の会議で「核心」と位置付けられた。過去の指導者で核心となったのは毛沢東、〓小平(とうしょうへい)、江沢民(こうたくみん)元総書記の三人のみ。指導者の中でも別格扱いとなった習氏が「党大会を機に『一強体制』を確立させるだろう」(外交筋)との見方がある一方、党内には集団指導体制を変えることに対する抵抗感も強い。

◆思想・言論統制を強化 活動家監視やネット規制

 【北京=安藤淳】共産党大会を前に、政策に不満を持ち抗議活動を行う可能性がある住民らの監視や地方への連れ去りなどが相次いでいる。インターネットへの規制も相次ぎ、党大会を前に当局への批判を封じる思想・言論への監視が強化されている。

 北京市に住む人権活動家の何徳普(かとくふ)さんは十一日から江西省の景勝地、廬山に向かった。何さんは一九九八年に「中国民主党」をつくるなどして逮捕され服役、その後も人権活動を続けている。今回も警察関係者が江西省まで同行、何さんは「いつものことだから」とあきらめ顔だ。

 同市北部にある当局非公認のキリスト教会が入るアパートの前の監視所にも、最近警察関係者が配置され、二十四時間、出入りがチェックされるようになった。人権活動家を支援する余文生(よぶんせい)弁護士の妻は「いつもより大きな監視カメラが設置された。当局のやり方は非人道的だ」と非難する。

 ノーベル平和賞を受賞し、今年七月に死去した民主活動家・劉暁波(りゅうぎょうは)氏の妻、劉霞(りゅうか)さんの行方も不明のまま。中国人権民主化運動ニュースセンター(香港)によると、北京の自宅に戻ったが、今月一日に北京をまた離れたという。

 ネット規制を巡っては、実名登録を義務付ける「ネット安全法」(六月施行)に基づき、当局が会員制交流サイトの書き込みを監視。違法・不適切情報の通報は七、八月に六百万件台に跳ね上がり、九月下旬にはネット大手三社が管理不十分として、罰金などの行政処分を受けた。海外のサイト閲覧の制限も始まり、今月中旬から匿名利用を可能にし、ネット規制回避に用いる「仮想私設網(VPN)」と呼ばれる技術が利用しにくくなっている。

 ※〓は登におおざと

 

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