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【国際】

イラク軍 キルクーク制圧 油田都市からクルド部隊撤退

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 【カイロ=奥田哲平】イラク軍は十六日、クルド自治政府が実効支配する北部の油田都市キルクーク中心部に入り、キルクーク州の本庁舎を支配下に置いた。キルクークを拠点とする少数民族トルクメン人の政党事務局長が本紙の電話取材に明らかにした。中心部には軍車両が展開し、自治政府の治安部隊ペシュメルガは撤退したという。イラク北部を占めるクルド人自治区の分離独立を問う先月二十五日の住民投票に反発して、イラク中央政府が実力行使に乗り出した形だ。

 ロイター通信によると、イラク軍やイスラム教シーア派民兵が十六日、キルクーク南方から進攻しペシュメルガの空軍基地や油田、石油精製施設などを相次ぎ掌握した。アバディ・イラク首相は「住民投票で生じた分断の危機に直面しており国家の団結を守るのは憲法上の義務だ」と作戦の正当性を主張した。AFP通信は、一部で砲撃の応酬があったと報じ、さらに自治政府当局者の話として、クルド兵士少なくとも十人が死亡と伝えたが、戦闘や被害の詳細な状況は不明だ。

 イラク石油省関係者はロイター通信に「一部のクルド人指導者との間で、石油・ガス施設を紛争の範囲外とする合意がある」と語った。キルクークの油田を中央政府が取り返せば、自治政府の独立に向けた財政運営は困難になる。

 クルド系メディア「ルダウ」によると、自治政府トップのバルザニ議長の顧問は「戦闘を仕掛けてはならないが、攻撃されれば応戦を許可する」と指示。クルド寄りの姿勢をとっているカリム州知事は、住民に武器を取って防戦するよう呼び掛けた。キルクーク南部に住むクルド人のシルワンさん(31)は電話取材に「シーア派民兵(アラブ人)はクルド系の政党事務所や民家を燃やした。抵抗できない。大勢の住民が避難を始めた」と明かした。

 キルクークはクルド人自治区の外にあるが、境界に近く、ペシュメルガが過激派組織「イスラム国」(IS)を撃退した二〇一四年六月からはクルド側が実効支配を続ける。自治政府が先月二十五日、キルクークを含む形でクルド地区独立の是非を問う住民投票を強行したため、中央政府との対立が激化。中央政府は管轄権を明け渡すよう求め、クルド側が拒否していた。

 

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