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【国際】

<習新時代の行方>(上)もくろむ長期政権 「一強」の源泉 手中に

25日、北京の人民大会堂で、中国共産党の第19期中央委員会第1回全体会議を終え、記者団に手を振る習近平総書記=共同

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 人民大会堂の記者会見場。無数のフラッシュの中、習近平(しゅうきんぺい)総書記が、手を振りながら先頭で入場した。緊張気味に従う共産党最高指導部の新常務委員とは対照的に、その表情は穏やかで余裕さえ感じた。

 新常務委員の中に、「ポスト習」と目される次世代のリーダーの姿はない。長期政権を視野に入れる権力の源泉は、反腐敗運動、軍の掌握と言論統制だ。

 習氏は五年前の総書記就任後、まず「反腐敗」運動を始めた。経済発展を重視してきた歴代指導者が残した汚職問題。「トラもハエもたたく」との大号令の下、最高指導部の元メンバーから末端党員まで摘発、国民的な支持を得た。

 「反腐敗」は、政敵を追い落とす一石二鳥の効果があった。地方経験が長く中央に人脈が乏しかった習氏は、中央のエリート組織の共産主義青年団出身者らライバルを次々と摘発。政策に口を出してきた長老にも無言の圧力を加えた。強引ともいえる手法には「胡錦濤(こきんとう)前総書記時代は指導部内で権力が分散して何も決められなかった」(中国筋)反省があったという。

 江沢民(こうたくみん)元総書記の影響力が強かった軍の掌握も進めた。中央軍事委員会勤務時の人脈や経験を生かし、江氏に近い二人の副主席経験者を摘発。軍改革を進めた。

 今回の人事で、軍事委副主席に習氏と親子二代の関わりを持つ張又侠(ちょうゆうきょう)氏(67)が就任。四人の軍事委員には、習氏が長くいた福建省にある陸軍三十一集団軍に勤務経験のある苗華(びょうか)政治工作部主任(61)が昇格するなど、軍での基盤を強固に固めた。さらに「世界一流の軍隊をつくる」と表明、海洋進出を積極化するなど「強国」路線を鮮明に。「政権は銃口から生まれる」との毛沢東(もうたくとう)の言葉を実践する。

 言論統制や宣伝工作も継続する。改正された党規約には「政治・軍・民間・学界など全ての活動を党が指導」「イデオロギー面の指導権確保」などが盛り込まれた。以前は政府に批判的な記事も見られたが、最近は習指導部への礼賛報道ばかり。研究者への言論統制も厳しくなり「シルクロード経済圏構想『一帯一路』を批判する研究はできない」(若手研究者)と頭を抱える。人権派弁護士らを大量に拘束し、国内の異論を排除する。

 「長い努力を経て、中国の特色ある社会主義は新時代に入った」。習氏は二十五日、記者団の前で、党の「核心」として強国建設に挑む姿勢をアピールした。

 ◇ 

 自らの名を冠した思想を党規約に盛り込むなど、歴代の総書記がなし得なかった権力の掌握を五年で果たし、「中華民族の偉大なる復興」を実現するために突き進む習近平氏。その「一強」体制の行方を探る。 (北京・安藤淳)

 

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