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【国際】

<習新時代の行方>(下)建国100年見据え強国化 経済・軍事 米国超え狙う

 「わが国の経済は、すでに高速成長の段階から質の高い発展を目指す段階へ切り替わっている」

 中国共産党の習近平(しゅうきんぺい)総書記(国家主席)は十八日の政治報告の演説で、一九七八年に「改革・開放」に乗り出した〓(※1)小平(とうしょうへい)氏の経済成長最優先の路線を転換させ、持続性のある発展を目指すことを表明した。

 建国百年を迎える二〇四九年までに習氏が見据えるのは、米国をしのぐ強国としての地位だ。経済面では「製造強国」を掲げ、インターネットや人工知能(AI)、ビッグデータを融合させ、ハイテク産業で世界をリードすることを狙う。

 中国は人口減少によって三五年以降、成長率が3%台に落ち込む可能性がある。高成長が困難となる前に「筋肉質な経済」に生まれ変わらせる戦略だ。

 成長の芽は着実に育つ。スマートフォンで支払いを済ませる「モバイル決済」は急速に普及。ネット最大手アリババの「支付宝(アリペイ)」と、騰訊(テンセント)の「微信支付(ウィーチャットペイ)」の利用者は延べ十二億人を超えた。

 バーコードやQRコードを読み取り、金額を打ち込めば一瞬で支払いが終了する新たな決済方法によって、手軽に利用できるシェア自転車サービスも人気を集める。この利用者のビッグデータを集め、新ビジネスに結び付けようとする動きも加速。キャッシュレス化で財布を持ち歩かない人が急増し、日常生活の変化は加速度的に進む。

 「生産技術の革新は民間頼み。(習氏の)政治報告の内容には具体性がない」(中国研究者)との指摘もあるが、世界経済に与えるインパクトは一層高まるのは間違いない。

 一方、経済力に裏打ちされた軍事力の増強は周辺国にとって大きな脅威だ。今年の国防費は初めて一兆元(約十七兆五千億円)を突破した。習氏は「今世紀中ごろまでに人民解放軍を世界一流の軍隊に築き上げる」と宣言。米国を念頭に「中国の特色ある大国外交は新型の国際関係の構築を促す」と述べ、世界秩序の再構築も狙う。

 外相経験者の楊潔〓(※2)(ようけつち)国務委員を党政治局員(二十五人)に昇格させ、外交重視の姿勢も鮮明にする。外交トップが政治局員になったのは故銭其〓(※3)(せんきしん)元副首相以来十五年ぶりとなる。

 経済・軍事面で米国に追いつき、追い越そうとする中国。あらゆる分野の強国化を打ち出した二期目の習指導部と、国際社会はどう向き合うのか問われ続ける。

  (北京・秦淳哉)

※1〓は、登におおざと

※2〓は、竹かんむりに、厂(がんだれ)、下に虎

※3〓は、深のさんずいが王

 

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