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【国際】

世界記憶遺産「杉原リスト」登録見送り 申請資料に疑義も

 【パリ=竹田佳彦】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は十月三十日、歴史的文書を対象とする「世界の記憶」(世界記憶遺産)に新たに七十八件を登録した。国内最古の石碑を含む「上野三碑(こうずけさんぴ)」(群馬県)と、日韓を結ぶ外交資料「朝鮮通信使に関する記録」が登録される一方、第二次世界大戦中に多くのユダヤ人を救った外交官・杉原千畝(ちうね)(一九〇〇〜八六年)の関係資料「杉原リスト」の登録は見送られた。 

 杉原千畝は、岐阜県八百津町ゆかりの外交官。バルト三国のリトアニアに駐在していた一九四〇年、ナチス・ドイツから逃れようと日本総領事館に駆け込んだユダヤ人約六千人に日本通過査証(ビザ)を発給して命を救った。

 同町は「命のビザ」四十七通や発行者リストなど六十四点を申請したが、一部関係者から資料の真正性などに疑念が呈されていた。審査委員からは「ユダヤ人を救った人の話は他の国でもある」との意見があり、人道的見地からのビザ発給の意義が十分に理解されていなかった可能性がある。

 上野三碑は飛鳥、奈良時代に建てられた国特別史跡の山上碑(やまのうえひ)、多胡碑、金井沢碑の総称。群馬県高崎市などが申請した。朝鮮通信使は、朝鮮国王が徳川将軍家に派遣した使節団。日韓の関係自治体や民間団体が共同で、外交文書など計三百三十三点の登録を求めた。

 日中韓を含む八カ国・地域の民間団体などが共同で「旧日本軍の慰安婦関連資料」の登録を申請していたが、日本など関係国の対話が必要として、判断は延期された。

 審査は専門家十四人で構成する国際諮問委員会で議論し、ユネスコ事務局長に登録を勧告する。今年の会議直前には、議論の透明性確保へ申請内容を事前に公表し、事実関係に議論がある場合は関係国から意見を聴取する制度改革が議論された。

 

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