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【国際】

ロシア「対話会議」で攻勢 シリア「戦後」の主導権狙う

1日、イランの首都テヘランでロウハニ大統領(右)と握手するロシアのプーチン大統領=イラン大統領府提供、ゲッティ・共同

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 【モスクワ=栗田晃】ロシアのプーチン大統領は一日、イランの首都テヘランを訪れ、ロウハニ大統領と会談した。シリア内戦で、過激派組織「イスラム国」(IS)が衰退し、ともに支援してきたアサド政権の優勢が固まる中、「戦後処理」を協議。ロシアは今月十八日、シリアの各団体を集めて「国民対話会議」をロシア南部ソチで開く予定で、戦後の主導権を握るため出口戦略を急ぐ。

 プーチン氏は会談後の共同記者発表で「シリアの問題を詳しく協議した。テロとの戦いや、和平交渉の過程は非常に順調に進んでいる」と述べた。

 プーチン氏は先月中旬、国連仲介のジュネーブでの和平協議を念頭に「政府と反体制派の交渉の歩みが遅い」と批判。シリアの各勢力を集めた対話の枠組みを新たに組織し、政治体制や新憲法を話し合うことを提案した。

 これを受けロシア外務省は先月末、アサド政権、反体制派、クルド人組織など三十三団体の代表を招く対話会議の開催を発表した。

 ロシアは、シリアの空軍と海軍の基地を事実上無期限で使えるようアサド政権側と合意している。中東での軍事的な影響力を保つためにはアサド政権の存続が大前提で、中東諸国への根回しも忘れていない。

 ショイグ国防相は先月中旬、ロシア国防相として初めてイスラエルを訪問。プーチン氏は同上旬、反体制派を支援してきたサウジアラビアのサルマン国王をサウジ国王として初めてロシアに招き、会談した。

 一方、ロシアは、国連調査で結論づけられたアサド政権の化学兵器使用を認めず、独善的な姿勢を貫いて国際社会の反発も招く。

 ロシア科学アカデミーのシュミリン・中東紛争分析センター長は「シリアへの軍事介入は半年ほどのはずだったが、既に三年目。ロシアに長期戦略はなく、良い状況で撤退するための条件を探っているだけだ」と指摘している。

◆反体制派側はロシアを批判

 【カイロ=奥田哲平】シリア反体制派の主要組織はロシア主導の「国民対話会議」に参加しない見通しだが、国連仲介のジュネーブ和平協議が形骸化する中、アサド政権存続の流れを止めるのに苦慮している。

 国連協議は、反体制派がアサド大統領の退陣を求めて停滞したまま。アサド政権打倒を掲げた米国のオバマ政権に代わるトランプ政権は今年七月、中央情報局(CIA)職員のシリア撤収を決め、一部の反体制派への支援を打ち切った。

 シリア人権監視団(ロンドン)によると、ロシアが後ろ盾となるアサド政権はシリア全土の53%を支配。ISが「首都」と称した北部ラッカを解放したクルド人勢力が25%を掌握する。残る二割ほどを乱立する反体制派やISが分け合っているとされる。

 ロシア提案の対話会議には、和平協議に参加できなかったクルド人勢力も招かれ、軍事的な力関係も反映。しかし、反体制派「シリア国民連合」のアハマド・ラマダン報道官は「ロシアは軍事介入で多数の民間人を殺害し、化学兵器を使ったアサド政権を助けてきた。国連協議を骨抜きにする枠組みには参加しない」と批判している。

 

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