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【国際】

海面上昇 消えた5島 温暖化であえぐソロモン諸島

ソロモン諸島・マライタ島の村で、地図を見ながらポール・ワレーさん(左)と避難計画について話すロバート・サマレさん=4日(共同)

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 千近くの島と環礁から成る南太平洋のソロモン諸島。海面上昇などの影響により、数十年間で無人島が五つ消失した。「地球温暖化はゆっくり確実にわれわれの首を締め付けている」(ソロモン諸島政府高官)。ドイツでは気候変動枠組み条約第二十三回締約国会議(COP23)が開催中。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」離脱を表明した米国に対し、水没の危機が迫る現地では失望の声が聞かれた。

 「右に見える小さな岩礁は島だった。左のマングローブはもっと手前まで迫っていたが、随分浸食されてしまった」

 首都ホニアラがあるガダルカナル島に次ぐ第二の島、マライタ島。中心的な町アウキからボートで南下中、ガイドのポール・ワレーさん(45)が教えてくれた。

 オーストラリア・クイーンズランド大のサイモン・アルバート教授によると、ソロモン諸島の海面上昇はこの二十年間で年平均八〜十ミリ。世界平均の三倍で、周辺の島しょ国と比べても深刻だ。

 マライタ島の村には「キングタイド(潮の王様)」と呼ばれる大潮が年に二回やって来る。そのたびに護岸が決壊、浸水する。住民のロバート・サマレさん(67)は「水位は太ももぐらいになる。定期的に石を積んで護岸を再建せざるを得ない」と話す。

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 村では最近、サマレさんが中心になり、被災時の避難計画を策定。住民は丘陵部に逃げるが、移住は難しい。漁業で生計を立てる住民が多く、海から離れることへの抵抗感が強い上、土地の権利関係が複雑で転居がままならないからだ。

 「あのマングローブの背後にはビーチがあったのに消えてしまった」。アウキから南十キロの小島、ブス島のステイーブン・ハーリさん(38)は、島の地形がすっかり変わったと嘆く。

 島には三百人ほどが住む。かつてはバナナやイモを栽培していたが、地下水位が上がり、塩分濃度も上昇したため育たなくなった。住民は五、六年前に栽培を断念、アウキまで毎日ボートで食べ物を買いに行っている。

 トランプ米大統領は六月、パリ協定離脱を表明。ソロモン諸島のメルキオール・マタキ環境・気候変動・気象・防災事務次官(44)は「米国の権利」としながらも失望を隠さない。「この国の人たちは快活だが、かなり追い込まれている。人命のかかった問題だということを多くの人に知ってほしい」と訴えた。 (アウキ・共同)

<ソロモン諸島> ニューギニア島東方の南太平洋に位置、ガダルカナルやマライタなど多数の島で構成される。英国が1900年までに保護領化。日本軍が42年に占領したが、米軍の反攻で撤退した。76年に自治権を獲得し、78年に独立、英連邦に所属。住民はメラネシア系が大半で人口約59万人。主要産業は農業や漁業。木材や魚類、ココアなどを主な輸出産品とする。首都はガダルカナル島のホニアラ。在留邦人は約90人(2015年10月現在)。16年12月、ガダルカナル島沖でマグニチュード(M)7・8の地震が起きた。 (共同)

 

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