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【国際】

世界遺産でセクハラ次々 英社会のモラル汚す議員

 「紳士の国」「議会制民主主義のお手本」といわれる英国で、男性議員の「裏の顔」が次々と明るみに出ている。議員や党職員の女性らが、セクハラ行為を詳細に告白。しかも醜聞の舞台は世界遺産にも登録されているウェストミンスター(英国議会)で、議会内にセクハラ行為に関する相談機関が十分に機能していないことも分かった。(ロンドン・沢田千秋)

 議会内には議員や幹部職員専用のバーがある。このうち「ストレンジャーズ・バー」は、テムズ川を一望できるテラス席が自慢。元保守党職員の女性は英紙に「議員が予約したストレンジャーズの個室で飲み物に(性的暴行を目的とした睡眠薬などの)レイプ・ドラッグを入れられたと疑い、警察に相談した。警察からは『同様の相談は初めてではない』と説明を受けた」と打ち明けた。

 「スポーツ&ソーシャル・バー」は、ビールなどが「議員特権」で街中のバーの約三分の二と格安だ。労働党の女性議員オンワラ氏は「ここで何人もの男女がとても不快な思いをした」と議会で告発した。バーは取材に「飲み過ぎた客にはアルコールを提供していない」と釈明したが、セクハラ疑惑には口をつぐんだ。

 女性蔑視の行動は議場にも広がっていた。元労働党議員の女性は、英紙に「議会で女性が質問に立つと、男性が手で下品なジェスチャーをしていた。審議中に胸やひざを触られたこともある。男性文化の中、『俺たちは何をしてもいい』という感じだった」と、怒りをぶちまけた。

 党運動員や秘書らによる訴えも、とどまるところを知らない。男性議員の横暴を許したのは、被害を訴える窓口が機能不全だったからだ。議会事務局の現役職員の女性は、取材に「二〇一四年、事務局にセクハラ相談用のヘルプラインができたが、選挙で選ばれた議員と事務局に雇用関係はなく、訴えを受けても議員の行動を規制する力はない」と指摘。「秘書らは議員からのセクハラを雇用主である議員本人に申し立てるしか方法がなく、実質的に不可能だった」と打ち明けた。

 メイ首相は「民主主義の本拠で起きた事実は全て、私たち全員の恥だ」と非難、各党と連携し、議会内に独立した苦情申立制度を導入する方針を示した。だがファロン前国防相が辞任に追い込まれるなど、自らの政権基盤がぐらつく。

 ロンドン大経済政治学院のジェニファー・ブラウン教授(政治学)は「議会は男性が支配的な職場環境の典型だ。セクハラ問題は、公然の秘密として存在したが、被害者を守る仕組みがないため我慢するしかなく、議員らを利してきた」と指摘。「国民は議員に高水準の規範意識と紳士らしい信念を期待しているが、議会が時代遅れで規制を嫌うばかりに、今は議会が英国社会全体のモラルを下げている」と批判した。

 

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