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【国際】

ジンバブエ ムガベ大統領、退陣不可避

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 【ハラレ=共同】アフリカ南部ジンバブエで、国軍の自宅軟禁下にあるムガベ大統領(93)の退陣が不可避の情勢となっている。首都ハラレでは十八日、退陣を求めるデモが開かれ、何万人もの市民らが「今すぐ辞任せよ」と訴えた。与党の地方支部は退陣要求を相次ぎ決議。約三十七年にわたって実権を握り、強権体質を批判されてきたムガベ政権が近く崩壊する可能性が出てきた。

 ムガベ氏は早期退陣を拒否しているとの情報があるが、ロイター通信によると、議会に不信任案を提出する動きが出ている。提出された場合、与野党が結束して可決し、週明けにも退陣が決まるとの観測も浮上する。与党幹部は「もう後戻りできない」と指摘した。

 さらに、与野党が暫定統一政権の樹立を検討していると地元紙が伝えるなど退陣後を見据えた動きも水面下で進んでいるもようだ。

 十八日、ハラレ中心部の大通りに集まった人々は車のクラクションを鳴らしたり、歌い踊ったりしながら退陣を要求。これとは別に、与野党メンバーや退役軍人らも退陣を求める集会を開いた。

 ムガベ氏の支配下にあった国営放送は十七日の番組で、与党の地方支部幹部が「支部の評議員全員がムガベ氏退陣に合意した」と語る様子を放映した。全国十支部のうち八支部が大統領退陣要求を決議したという。

 与党はこれまで、ムガベ氏の妻グレース氏(52)派と、軍と関係が深く六日にムガベ氏に解任されたムナンガグワ前第一副大統領(75)派に二分されてきた。軍は蜂起後、グレース氏の側近らを逮捕。同氏派は軍による粛清を恐れ、退陣に賛同したとみられる。

 ムガベ氏は現在、世界で最高齢の首脳。白人政権への抵抗運動を率い、一九八〇年に独立を達成した。二〇〇〇年以降、極端な農業改革を実施した結果、農地が荒廃して経済も崩壊。選挙の際に野党を弾圧するなど強権体制を敷き、欧米諸国などから「独裁者」と批判されてきた。

◆軍蜂起に中国の影

 【ロンドン=阿部伸哉】軍が蜂起したジンバブエ情勢に関し、複数の英メディアが、軍トップが蜂起直前に中国を訪問していたと報じた。ジンバブエ最大の支援国である中国が事態収拾の鍵を握る可能性がある。

 デーリー・テレグラフ、ガーディアン両紙によると、十五日の蜂起の数日前に、ジンバブエ国軍トップのチウェンガ司令官が北京を訪問し、中国国防省幹部らと会談した。チウェンガ氏は、ムガベ大統領退陣後の暫定政権を率いるとみられるムナンガグワ前第一副大統領に近い。

 軍の蜂起について中国が事前に把握していたとの見方が広がっているが、中国外務省は「通常の訪問」として詳細な説明は避けている。同時にムガベ政権支持も表明しておらず、英メディアは中国が暫定政権を「黙認」するとみている。

 ジンバブエは「南ローデシア」と呼ばれた旧英領だが、現在は中国が最大の貿易相手国。豊富な地下資源確保のため巨額の投資を続けている。さらに、中国は欧米が「独裁者」と批判するムガベ氏を政治的に支援してきた。ムガベ氏が自身の後継者にしようと画策してきた妻グレース氏は中国留学経験がある。

 ロンドン大東洋アフリカ研究学院のスティーブ・ツァン中国学部長は本紙取材に「ジンバブエ国軍が中国に事前に相談すれば、ムガベ氏に計画が漏れた可能性がある」として、中国が事前に把握していたとの見方に否定的だ。一方で「政権が代わっても中国頼みの状況は変わらない。中国には楽観的な状況だ」と話した。

 

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