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【国際】

アルカイダ暗躍再び IS衰退…ビンラディン容疑者の息子旗頭

 【カイロ=奥田哲平】イラクとシリアにまたがる広範囲な地域を実効支配した過激派組織「イスラム国」(IS)に対する掃討作戦が大詰めを迎える中、国際テロ組織アルカイダが、中東地域で再興を狙う兆しが出ている。ISの台頭で存在感が著しく低下していたが、アルカイダを率いた故ウサマ・ビンラディン容疑者の息子ハムザ・ビンラディン容疑者を広告塔に利用し、求心力を取り戻す戦略。エジプトなど各国の治安当局は警戒を強めている。

 「アルカイダがエジプト西部のドアをたたいている」。汎(はん)アラブ紙アッシャルク・アルアウサトは十一日、こんな見出しでアルカイダ系武装勢力がエジプト西部で活動を活発化させている実態を大きく報道した。

 西部の砂漠地帯では十月下旬に武装組織に襲撃された警察部隊約十六人が死亡する事件が発生。新興テロ組織「アンサール・イスラム」が犯行声明を出した。リビア東部で軍事訓練を積んだ複数のグループが結集したアルカイダ系とされる。

 ISはアルカイダ系のスンニ派反米勢力が合流した組織が前身。住民らを処刑する残虐行為や国家樹立を目指す方針を巡って対立し、関係は断絶。世界中からテロ要員と資金を集め、広範な地域を支配したISに乗り換えるグループが相次ぎ、アルカイダは退潮傾向にあった。

 アルカイダ系組織の活動はエジプト以外でも活発だ。ソマリアの「アルシャバーブ」は十月に首都モガディシオで爆弾テロを相次ぎ実行。イエメンの「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」は、内戦下の政情不安を利用して勢力を維持しており、リビア東部は、イスラム過激派の軍事訓練の拠点となっている。

 以前からエジプト・シナイ半島を拠点としたアルカイダ系組織「グンドゥ・イスラム」は十一日、弱体化するIS戦闘員に「われわれの旗の下に戻るべきだ」と呼び掛けた。

 アルカイダが勢力回復に向けた旗頭と目論(もくろ)むのが、二十八歳と伝えられるハムザ容疑者だ。ビンラディン容疑者の二十人の子どもの十五番目で、最もかわいがったと言われる。ハムザ容疑者は既に二〇一六年、米国への復讐を呼び掛ける音声メッセージを出し、米国務省から「国際テロリスト」に指定されている。米中枢同時テロから十六年となる九月十一日、アルカイダは「ジハード(聖戦)の皇太子」と紹介し、今なおカリスマ性のあるビンラディン容疑者の威光を背景に復活を狙う戦略を鮮明にした。

◆戦闘員を勧誘する好機

<中東の衛星放送アルジャジーラ元記者で、ビンラディン容疑者に単独インタビューしたジャマル・イスマイル氏>

 ISが崩壊した現在、アルカイダにとってはISに流れた傘下の組織を取り戻し、新たな戦闘員を勧誘する好機とみており、そのためにハムザ容疑者をメディアの顔として利用している。指導者になるにはまだ若いうえ、(最高指導者の座を)世襲しないという原則にも反するが、今後幹部が死亡したり、大規模なテロ事件を成功させた際に華々しくリーダーの一人として宣言する可能性はある。

<アルカイダ> 1979年に始まるソ連のアフガニスタン侵攻を機に集まったイスラム教徒の義勇兵を中心として、80年代にサウジアラビア出身のウサマ・ビンラディン容疑者らが設立。湾岸戦争で反米色を強め、2001年に約3000人の犠牲者を出した米中枢同時テロを起こした。11年5月、ビンラディン容疑者が米軍によって殺害されると、ザワヒリ容疑者が指導者に就いた。幹部はパキスタンに潜伏しているとみられる。

 

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