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【国際】

米、北をテロ国家再指定 トランプ氏 追加制裁公表へ

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 【ワシントン=後藤孝好】トランプ米大統領は二十日、ホワイトハウスで閣議を開き、核・ミサイル開発を強行する北朝鮮をテロ支援国家に再指定すると表明した。ブッシュ(子)政権が二〇〇八年に核問題を巡る協議の進展を理由に解除して以来、九年ぶりの指定。米財務省は二十一日に大規模な追加制裁を公表する方針で、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が強く反発して米朝間の緊張が一段と高まる懸念もある。米国務省によると、再指定は二十日付。

 トランプ氏は閣議の冒頭で「北朝鮮は核で世界を破壊すると脅迫するだけでなく、外国での暗殺を含む国際テロ行為を繰り返し支援してきた」と厳しく非難。「この指定が北朝鮮とその関係者にさらなる制裁や懲罰を科し、残忍な体制を孤立させるために最大限の圧力をかける取り組みを後押しする」と述べた。

 ティラーソン米国務長官は記者会見で、指定の理由として、金氏の異母兄の金正男(キムジョンナム)氏が今年二月にマレーシアで猛毒の神経剤VXを使って殺害されたことを挙げた。米国人大学生オットー・ワームビア氏=当時(22)=が北朝鮮に約一年半拘束されて昏睡(こんすい)状態に陥り、今年六月の帰国直後に死亡した問題も踏まえて判断した。

 トランプ氏は、財務省が二十一日に金融制裁を科すなど、今後二週間で順次、追加措置を実施していくと明らかにした。その結果、北朝鮮への制裁は「最高レベルになる」と強調した。

 異母兄の暗殺や米大学生の死亡に加え、度重なる核実験と米本土を射程に収める核搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発の進展を受け、米議会を中心に再指定を求める声が上がっていた。米国は一九八七年の大韓航空機爆破事件を受け、八八年に北朝鮮をテロ支援国家に指定したが、二〇〇八年に解除していた。

◆政府、歓迎と警戒

 安倍晋三首相は二十一日、トランプ米大統領が北朝鮮をテロ支援国家に再指定すると表明したことについて「北朝鮮に対する圧力を強化するものとして歓迎し、支持する」と官邸で記者団に話した。

 ◇ 

 小野寺五典防衛相は二十一日の記者会見で、「北朝鮮の強い反発が想定され、新たな挑発行動に出ることは否定できない。警戒監視を強めていく」と話した。

【解説】「最大限の圧力」強硬貫く

 トランプ米政権が二十日、北朝鮮をテロ支援国家に再指定したのは、核・ミサイルを放棄させるために「最大限の圧力」をかける戦略の一環だ。多くの制裁が実施済みで効果は限られ、ティラーソン米国務長官も「非常に象徴的」と認めるが、強硬路線を貫く姿勢を示すことで、北朝鮮と関係のある国々に取引を停止するよう促す狙いがある。

 トランプ米大統領は、北朝鮮に影響力のある中国が問題解決のカギを握ると考え、訪中の際、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席に重ねて協力を要請。習氏の特使の訪朝について「大きな動きだ。何が起きるか見てみよう」とツイッターに投稿して様子を見守っていたが、特使は二十日に四日間の訪朝日程を終えて帰国。特段の成果がなかったと見切りを付けて再指定を決断したようだ。

 米国では北朝鮮に拘束された米国人大学生の死亡に反発が強まり、米本土への核攻撃の脅威が高まっている。ロシアが昨年の大統領選に干渉するなどした疑惑「ロシアゲート」の再燃や、議会との対立で税制改革をはじめとする公約実現が滞る中、北朝鮮への強硬姿勢で求心力と支持率を回復させる効果も期待できる。

 だが、トランプ氏は対話による解決より、軍事行動も辞さない「力による平和」を殊更に誇示する。孤立する北朝鮮が音を上げるまで圧力を強める戦略は米朝の緊張を最大限に高めることになり、軍事衝突という不測の事態を招きかねない。 (後藤孝好)

<米のテロ支援国家指定> 特定の国家が国際的なテロ活動を繰り返し支援していると米国務長官が認定し「テロ支援国家」に指定する措置。金融制裁、武器輸出や経済援助の禁止などが科される。北朝鮮の指定はブッシュ(子)政権が2008年10月に解除。拉致問題解決を重視する日本は解除に反対した。15年5月にキューバが解除され、今回の北朝鮮のほか、シリア、イラン、スーダンの3カ国が指定されている。 (共同)

 

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