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【国際】

シリア内戦通じ勢力拡大 ヒズボラ 増す存在感

23日、ベイルート南郊のヒズボラ拠点地域で、シリア内戦で戦死した兵士が「殉教者」として埋葬されていた

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 中東の覇権を争うイスラム教スンニ派の盟主サウジアラビアとシーア派大国イランの対立が飛び火し、ハリリ首相の辞任騒動に発展したレバノン。批判の的になっているシーア派組織ヒズボラは、隣国シリア内戦への派兵を通じて国内外で影響力を増している。(ベイルートで、奥田哲平、写真も)

 「俺たちが戦わなければ、(シリアの)アサド政権は勝てなかった」。政権軍を支援するヒズボラ義勇兵として二〇一三年以来、二度にわたりシリア内戦に派兵された男性(43)は、機関銃を構える自身の写真を誇らしげに見せた。当初政権軍は劣勢に追い込まれていたが、ロシアの空爆に加え、ヒズボラなどの民兵組織の支援で形勢を逆転したと言われる。

 一九八二年にイスラエル侵攻への抵抗運動組織として創設されたヒズボラ。今やイランの“先兵”として、内戦が続くイエメンなどに戦闘員を派遣しているとされ、地域紛争への活発な介入が非難の的となっている。しかし男性は「同じシーア派を保護するという使命がある」と言い切る。

 多様な宗派が混在するレバノンは一九九〇年まで十五年に及ぶ内戦終結後、宗派ごとの「権力分散体制」を構築した。しかし、その共存のバランスは揺らいでいる。ハリリ氏が率いる政党「未来運動」のバーセム・シャブ議員はヒズボラについて「シリア内戦で自信を深め、政府と調整せずに物事を進めることが増えた」と言う。昨年十月末にヒズボラに近いアウン氏が大統領に就任し、政界も事実上牛耳る。

 ハリリ氏の辞任表明は、危機感を抱いたサウジが迫ったとの見方がもっぱらだ。二十二日の辞任凍結で当面の政治空白は避けられたが、不安定な政情は続く。洋服店経営サミーラさん(45)は「ヒズボラは強くなりすぎた。イスラエルへの抵抗運動という原点に立ち戻るべきだ」と指摘する。

 混乱は人口六百万人の小国の経済にも波及する。九日に湾岸諸国が自国民に対してレバノンからの退避を呼び掛けると、サウジ資本のホテルから宿泊客が消えた。従業員は「ホテルは売却されるようだ。仕事を失うかもしれない」と不安がる。湾岸諸国で働き、年間約八十億ドル(約八千九百億円)を送金する約四十万人のレバノン人が追放されれば、さらなる打撃だ。シャブ氏は「(サウジが国交断絶した)カタールのように経済制裁を受ける方が、軍事衝突より恐ろしい」と警戒する。

 

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