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【国際】

北が弾道ミサイル 到達高度 過去最高4500キロ

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 北朝鮮は二十九日午前三時十八分ごろ、北朝鮮西部の平安南道(ピョンアンナムド)・平城(ピョンソン)付近から日本海に向けて弾道ミサイル一発を発射した。日本政府や韓国軍合同参謀本部によると、ミサイルは約五十三分間で約千キロ飛行し、青森県西方約二百五十キロの日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)で、通常より高い角度の「ロフテッド軌道」で発射したとみられる。到達高度は約四千五百キロと推定され過去最高。北朝鮮の政府声明は「米本土全域を攻撃できる」と主張した。

 北朝鮮の朝鮮中央テレビや朝鮮中央放送などは二十九日正午(日本時間午後零時三十分)、重大放送として新型のICBM「火星15」の発射実験に成功したと発表。北朝鮮の政府声明は最高高度四千四百七十五キロで九百五十キロ飛行し、「超大型の重量級核弾頭を搭載できる」と説明した。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射は九月十五日に北海道上空を通過して以来。北朝鮮は七月四、二十八両日にロフテッド軌道でICBM「火星14」を発射している。日本のEEZ内への落下は今回で七回目。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十九日の記者会見で今回のミサイルについて「ICBM級の弾道ミサイルだった可能性がある」と話した。小野寺五典(いつのり)防衛相は記者団に「ミサイルはいくつかに分かれて落下した」と、ICBMで採用されている「多段式」との見方を示した。

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 河野太郎外相は二十九日の参院予算委員会で「北朝鮮は(九月のミサイル発射以降)二カ月間準備をしてきた。自制をする意思がないことは明らかだ」との見方を示した。安倍晋三首相は官邸で記者団に「北朝鮮の動きは完全に把握し、危機管理に万全の態勢をとった」と語った。

 首相は米国のトランプ大統領と電話で協議。終了後、記者団に「北朝鮮に圧力を最大限高めることで一致した」と明らかにした。

 日本政府は、今回の弾道ミサイルが日本の領土、領海に落下する可能性がなかったと判断し、自衛隊法に基づく破壊措置を行わなかった。全国瞬時警報システム(Jアラート)での避難呼び掛けもしなかった。

 北朝鮮は、米国が今月、北朝鮮をテロ支援国家に再指定すると発表したことに強く反発。ミサイル発射の兆候もあり、日米韓三カ国などは警戒を強めていた。

<排他的経済水域(EEZ)> 漁業や天然ガスの採掘などに関して、沿岸国の経済的な権利が及ぶ水域の範囲。国連海洋法条約は、沿岸から200カイリ(約370キロ)以内と定めている。天然資源の採掘のほか、人工島の建設などが認められる。同条約で定める領海は国の主権が及ぶ海域で、沿岸から12カイリ(約22キロ)の範囲。

7月28日に発射されたICBM「火星14」。朝鮮中央通信が配信した=朝鮮通信・共同

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◆米全土射程か 北「火星15成功」

 【北京=城内康伸】北朝鮮が二十九日に、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長も立ち会って発射したとする「新型」の弾道ミサイルは、米専門家などによると、通常の角度で発射した場合の飛距離が一万三千キロ以上に達し首都ワシントンを含む米本土全域を射程に収めるとみられ、対米攻撃能力の拡大を誇示した形だ。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実戦配備に向け、年内にも発射実験を繰り返す恐れがある。

 トランプ米大統領は今月八日、韓国国会で北朝鮮について「地獄だ」などと厳しく批判した。二十日にはテロ支援国家に再指定、日本海では、米軍が原子力空母三隻を展開し、北朝鮮を脅かした。

 弾道ミサイル発射は、圧力を最大限に高めるトランプ政権への強い反発とみられる。北朝鮮は九月中旬以降、二カ月半にわたり軍事挑発を控えてきたが、米国の出方を見極めていたもようだ。北朝鮮外務省米国研究所の公報室長は二十八日、談話を発表し、核・ミサイル開発について「徹頭徹尾、米国を狙っている」と、米国への対抗措置であることを強調している。

 北朝鮮は七月下旬、ICBM「火星14」を、飛距離を縮めるため高角度で打ち上げるロフテッド軌道で発射し、高度は約三千七百キロに達した。今回は八百キロほど高度を伸ばしており、エンジンの出力アップなど発射に向けた準備を着々と進めてきたようだ。

 米国の科学者らで組織する「憂慮する科学者同盟」の軍事専門家デービッド・ライト氏はウェブサイトで「通常軌道の場合、飛距離は一万三千キロを超えるだろう」と指摘した。「火星15」は「火星14」の改良型とみられる。

 北朝鮮は十二月、金正日(キムジョンイル)総書記の命日(十七日)や正恩氏の朝鮮人民軍最高司令官就任六周年(三十日)を控えている。こうしたタイミングに合わせ、ミサイルの飛距離を確認するため通常角度で再び発射実験を強行するとの観測が出ている。

 

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