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【国際】

製造業不正 重大な懸念 カンター元米通商代表

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 新車の無資格検査、素材メーカーのデータ改ざんが相次ぎ発覚し、信頼を失った日本の製造業。日米貿易摩擦の最前線で米通商代表部(USTR)の代表を務め、日本のモノ作りにふれてきたミッキー・カンター氏(78)は、本紙の電話インタビューで現状に「重大な懸念」を示した。短期的な利益を追求する企業体質を背景に挙げ、改善しなければ「将来にわたり危険にさらされる」と警告した。一問一答は次の通り。 (聞き手=ニューヨーク・東條仁史)

 −一連の不祥事を率直にどうみていますか。

 「世界中の取引先に影響を与えており、問題を起こした企業の将来にも打撃となる。世界との貿易で、日本への評価をおとしめることにもなる。取締役会から一線の従業員まで、深刻に向き合うべきだ」

 −原因は何だと。

 「現在、世界を舞台に活動する企業は、競争が激しく非常に大きなプレッシャーにさらされている。安易な手法でコストを下げて短期的に利益を追求し、株価を上昇させなければ、という圧力だ。その結果、品質管理がおろそかになってしまった」

 −過去の交渉時、日本の製造業の品質をどう評価していましたか。

 「素晴らしいと思っていた。私自身、日本企業の工場で、高品質を生み出す現場を目の当たりにしたこともある。それが、日本企業の競争力、産業の強さと直結していた」

 −欧米流の利益重視が日本にも広がり、品質は二の次になってしまったのでしょうか。

 「そう考える。グローバル化の進展による競争で、時代は変わってしまった。訓練、リーダーシップ、企業の規律。この大事な三つの要素が損なわれてしまったのだろう。今後もグローバル化の流れは加速する。早く、多くの製品を生産する圧力は強まっていく。日本だけではなく、世界の企業が立ち向かわなくてはならない課題だ」

 −一度、根付いた慣習を短期間で取り除くのは容易ではない。日本の製造業は信頼を回復できますか。

 「できると信じている。日本企業はまだまだ競争力があり、評価も高い。まずは今回の問題の深刻さをしっかりと認識した上で、企業倫理を変えると固く約束することだ。従業員が目標をしっかりと理解し、品質を最重要視する土壌をつくり上げなくてはならない。それができなければ、長期にわたって自らの信頼を傷つける危険から逃れることはできない」

<ミッキー・カンター氏> 1939年、米テネシー州生まれ。ジョージタウン大大学院修了。弁護士。クリントン政権で米通商代表部(USTR)代表、商務長官を歴任。95年の日米自動車・同部品協議で、日本製高級車に100%の関税をかけると公表し、タフネゴシエーター(手ごわい交渉相手)として知られた。写真は本人提供。

 

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