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【国際】

分断の時代、文学の力で壁壊す イシグロ氏 ノーベル賞講演

7日、ストックホルムのスウェーデン・アカデミーで講演するカズオ・イシグロ氏=AP・共同

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 【ストックホルム=共同】今年のノーベル文学賞を受賞する英国人作家カズオ・イシグロ氏(63)が七日(日本時間八日未明)、スウェーデンのストックホルムで記念講演を行った。世界に広がる貧富の格差や人種差別主義を踏まえ、「分断が危険なまでに深まる時代に、良い作品を書き、読むことで壁は打ち壊される」と述べ、文学者が担う使命の重要性を説いた。

 講演のタイトルは「私の二十世紀の夕べ−そしていくつかのささやかな発見」。イシグロ氏は「私にとって大切なのは物語が感情を伝えることであり、国境や分断を超えて人間が共有するものに訴えかけるということだ」と語った。

 イシグロ氏は日本人の両親の下で長崎市に生まれ、五歳で渡英。講演では、大人になるにつれて記憶の中で薄れてゆく日本と向き合ったことが創作活動の原点であり、小説の中で「私にとっての日本」を築き直したいと思ったと振り返った。原爆投下からの復興を遂げる長崎を舞台にした最初の長編小説「遠い山なみの光」にも言及した。

 英国の欧州連合(EU)離脱やトランプ米大統領の登場を念頭にして、子どもの頃から自明のものと信じてきたリベラルな価値観が根底から揺らぐ現実に、強い危機感を表明した。人種差別主義の広がりを「目覚めつつある怪物」に例えて、懸念を示した。

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 その上で「困難な環境を乗り越える時、文学が特に重要と信じる」と強調。「未来が不確実」な中で文学が形式にとらわれず、さまざまな声を反映して多様性を確保する大切さを訴えた。「私たちを鼓舞し、導く若い世代の作家たちに目を向けている。今は彼らの時代だ」とエールを送った。

 イシグロ氏は十日に授賞式に臨む。日本出身の作家としては一九六八年の川端康成、九四年の大江健三郎氏に続く三人目、二十三年ぶりの受賞となる。

 

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