東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

傘に頼る国へ「共犯者となるのか」 ICAN 平和賞授賞式演説

写真

 【オスロ=沢田千秋】広島、長崎の被爆者らと連携し、核兵器禁止条約の採択に尽力した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))に対するノーベル平和賞の授賞式が十日、ノルウェー・オスロで行われた。英語で被爆体験を語り続けてきたカナダ在住のサーロー節子さん(85)は、被爆者として初めて授賞式で演説し「核兵器は必要悪ではなく絶対悪だ」と強調。ICANのベアトリス・フィン事務局長(35)も「全ての国に私たちの終わりではなく、核兵器の終わりを選んでほしい」と条約への参加を呼び掛けた。

◆怒り

 「核兵器とは、血迷った男が絶えず私たちのこめかみに銃を突きつけているようなものだ」。フィン氏の口調は冷静だったが、核保有国に対する怒りに満ちていた。

 特に核保有国が主張する「抑止力効果」に強い疑問を投げかけた。「彼ら(核保有国)は恐怖を戦争の兵器としてたたえている。無数の人間を一瞬で皆殺しにする準備があると宣言し、威張っている」と強く批判。北朝鮮の核開発問題も「核兵器の存在が、核競争への参加に他国を駆り立て、私たちを安全にするどころか紛争を起こす」と指摘した。

 圧巻は「米国よ、恐怖よりも自由を(選べ)」などと、事実上の核保有九カ国に対し、名指しで禁止条約への参加を迫ったことだ。フィン氏は「核の傘」に頼る国々も「他国を破壊する共犯者となるのか」と迫り、条約に署名しない日本政府などを批判した。

 ノーベル平和賞委員会も、ICANの意見を全面的に支持した。ベーリット・レイスアンデルセン委員長は授賞理由の演説で「限定された核戦争など幻想だ」と指摘。「核兵器を使う、という脅しでさえ、人道的、道徳的、法的に受け入れられない」と断じた。

◆拒否

 しかし「世界の安定は核の均衡でのみ保たれる」(ロシアのペスコフ大統領報道官)と主張する核保有国が姿勢を軟化させる気配はない。

 十日の授賞式には、世界に約一万五千個あるとされる核弾頭の九割以上を保有する米、英、仏、中国、ロシアの五大国が恒例だった駐ノルウェー大使の出席を見送った。事実上のボイコットで、条約を「核不拡散や核軍縮の害悪」(ロバート・ウッド米軍縮大使)と批判する米国は、条約に署名や批准をしないよう呼び掛けている。

 日本には、国際社会に「世界で唯一の被爆国としての特別な役割がある」(オーストリアのトーマス・ハイノツィ前軍縮大使)と、条約参加を期待する声が強いが、菅義偉(すがよしひで)官房長官は十日、「条約の署名、批准は行わない」と言い切った。

<核兵器禁止条約> 核兵器の開発や保有、使用などを全面禁止する条約。前文で核兵器使用による被爆者の受け入れ難い苦しみに留意すると明記した。核兵器使用は国際人道法に「一般的に反する」とした1996年の国際司法裁判所の勧告的意見を踏まえている。条約制定の賛否を問う投票では122カ国・地域の賛成で採択された。米国やロシアなどの核保有国や、米国の「核の傘」に頼る日本は条約に不参加だった。 (共同)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報