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【国際】

「米がイスラエル寄り和平案」 エルサレム首都認定前

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 【カイロ=奥田哲平】パレスチナ自治政府の主流派ファタハの幹部でパレスチナ評議会議員のファイサル・シャハラ氏が十五日、本紙の取材に対し、トランプ米大統領が六日にエルサレムを「イスラエルの首都」と表明する前に、米側がイスラエルに有利な新たな中東和平案をアッバス自治政府議長に提示していたことを明らかにした。シャハラ氏によると、アッバス氏は即座に拒否。トランプ氏による「首都認定」は、和平案を自治政府に受け入れさせるための米側の「圧力」だとしている。

 新和平案はトランプ氏の娘婿のクシュナー大統領上級顧問らが検討しているとされる。シャハラ氏は「誰が提案したかは言えない」としながらも「非公式協議の中で提案された。決して受け入れられない不公平なものだった」と指摘。東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立をイスラエルが認める代わりに、アラブ諸国がイスラエルとの関係を正常化するなどとした二〇〇二年の「アラブ和平イニシアチブ」に反する内容だったという。

 四日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、アッバス氏が先月、サウジアラビアの首都リヤドでサウジのムハンマド皇太子と会談し、(1)パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の一部とガザ地区に独立国家の樹立を認める(2)西岸のユダヤ人入植地はパレスチナに返還されない(3)国外のパレスチナ難民のパレスチナへの帰還を認めない−などとする提案を受けたと報じた。

 独立国家の樹立、入植地の返還、難民の帰還は、いずれも和平イニシアチブに盛り込まれている。

 ロイター通信によると、皇太子は会談で「我慢しなさい。いい知らせが来る」とアッバス氏を説得したという。米国、サウジ、自治政府はいずれも一連の報道を否定している。

 トランプ氏は一四年に頓挫した中東和平交渉の再開を「究極の取引」と称して意欲を示し、地域大国のサウジやエジプトに働き掛けて進展を模索してきたとされる。

 中東の衛星放送アルジャジーラ(電子版)は今年七月、パレスチナ自治区ガザと、隣接するエジプト北東部シナイ半島にまたがるパレスチナ国家建設の可能性を論じている。

<アラブ和平イニシアチブ> 2002年にサウジアラビアのアブドラ前国王(当時は皇太子)が提唱し、アラブ連盟が採択した包括和平案。(1)イスラエルが1967年の第3次中東戦争で得た占領地から撤退(2)パレスチナ難民帰還問題の公平な解決(3)東エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家の樹立−を条件に、アラブ諸国がイスラエルとの関係を正常化する。アラブ連盟は今年3月の首脳会議でも、この方針を前提に和平交渉再開を求める共同声明を出した。

 

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