東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

北京・出稼ぎ村 突然の追い出し 「違法建築」理由市政府、人口抑制狙う?

退去命令が出た北京の「出稼ぎ村」で引っ越しに追われる住民=秦淳哉撮影

写真

 【北京=秦淳哉】中国・北京市に住む出稼ぎ労働者らが、住居の違法建築を理由に突然退去を強いられる事態が相次いでいる。背景には、二千万人を超える人口の増加抑制を目指す市当局の思惑もあるとみられ、住宅を奪われた労働者の抗議行動も起きている。

 「十五日までに荷物を全て運び出せ。できなければ責任は自らが負うこと」。市中心部から北に約十五キロの朝陽区費家村。労働者が格安で住める「出稼ぎ村」として知られる場所を十五日に訪れると、当局の通知文が至る所に張られていた。通知は十一月三十日付。住民たちは慌ただしく引っ越し作業に追われていた。

 十年前、安徽省から来たスーパー店員の女性(26)は「突然の命令で何の補償もない」とあきらめ顔だ。住居は十平方メートルの一室で、トイレ、台所、シャワー室は共同で家賃は一カ月八百元(約一万四千円)。月給は三千元(約五万一千円)だが、女性は「これ以上高額な部屋には住めない。実家に戻るしかない」と嘆く。

 退去命令は、市郊外の簡易宿泊所で出稼ぎ労働者十九人が死亡した先月の火災がきっかけだ。市トップの蔡奇(さいき)・共産党市委員会書記は防災名目に違法建築の撤去を指示。習近平(しゅうきんぺい)国家主席も渋滞や大気汚染の解消を目指して首都の人口抑制策を打ち出しており、出稼ぎ労働者がスケープゴートにされた形だ。知識人らは「人権侵害だ」と批判するが、市政府が締め付けを緩める気配はない。

 費家村によると、人口は約五百人だが、違法な増築によって家賃が安いため、移り住んでいた住民は約二万五千人に上る。八年前に四川省から来た女性(48)は「転居を拒否すると部屋の窓ガラスを割られる。真冬では住めない」と訴えた。住民によると、十日には不満を訴える数百人が村にある共産党委員会に抗議したが、最後は「政府の方針だ」と押し切られたという。香港メディアによると、北京市内には同じような「出稼ぎ村」が四十カ所以上あり、徐々に撤去が進むとみられている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報