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【国際】

アフリカ遺児に希望を あしなが育英会 ロンドンに事務所

英国会議事堂を訪れ、アフリカ遺児支援への協力を求める「あしなが育英会」の玉井義臣会長(右)。左から2人目はガーナから英に留学しているセナさん=ロンドンで

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 交通事故や病気などで親を失った遺児らの進学を支援する「あしなが育英会」が今年、ロンドン事務所を開設し、英国などで学ぶアフリカの遺児の支援を本格化している。十一月には設立者の玉井義臣会長(82)自らロンドンを訪れ、大学関係者に遺児受け入れなどの協力を要請。運動は国境を超えて広がっている。(ロンドン・阿部伸哉、写真も)

 テムズ川を望む英国会議事堂の一室。孤児院で育ったガーナ出身のセナさん(23)がマイクの前に立ち、玉井会長や議員らにつらい思い出を語った。「友だちは親にキスされ見送られているのに、自分を見送るのは送迎のバスだけ」

 高校進学は夢のまた夢だったが、二〇一四年、孤児院を通じて育英会の奨学金を知る。「そんな虫のいい話があるのか」と半信半疑で受けて合格。「アフリカ遺児高等教育支援百年構想」の一期生となった。

 現在は英ウェストミンスター大で学ぶ。「ガーナに戻り孤児を支援したい」と、家族法の弁護士になることを目指している。

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 運動の創始者である玉井氏も二十七歳のとき、母親を交通事故で失った。「お母ちゃん、かたきは討ったる」。当時のお粗末な救急医療体制への激しい憤りを、その後の活動の糧とした。

 交通事故遺児のための街頭募金を始めたのはちょうど五十年前。集めた額は千百億円に達し、支援した若者は十万人を超えた。

 「次はアフリカしかない」と背中を押したのは、国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さん。二十年ほど前に対談した際「人口が爆発的に増えるアフリカは、人類にとって宝の山だ」と説かれた。

 ウガンダに最初の海外事務所を設け、〇一年にエイズ(後天性免疫不全症候群)遺児を日本に招待。一四年には、サハラ砂漠以南の各国から日本や欧米への留学を支援する「百年構想」を立ち上げた。

 貧困が深刻なアフリカ支援のため、著名人による応援組織「賢人達人会」を結成。指揮者の小澤征爾氏や元米大リーグのホームラン王、ハンク・アーロン氏ら九十人が名を連ねる。

 そして今年二月、ロンドンに海外四つ目となる拠点を開いた。日本での街頭募金も日本とアフリカの遺児支援の二本立てとし、集まった額の半分をアフリカ支援に充てる。セナさんを含め、一四年から海外で学ぶ奨学生は六十七人に。

 来年にはパリにも事務所を開く。「育英会は一円の募金から始まった。人間の力は無限なんです」。支援の輪を広げる玉井氏の情熱に陰りは見えない。

 

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