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【国際】

<終わりなき闘い ポストISの世界> (5)シリア復興 潤うロシア

 「シリアを裏切った国の会社とは協力できない」

 シリアのアサド大統領は首都ダマスカスでロシアのロゴジン副首相と復興事業について協議し、反体制派を支援してきた欧米への敵意をあらわにした。プーチン大統領がシリアを電撃訪問し、過激派組織「イスラム国」(IS)への勝利宣言をしてから一週間後の今月十八日のことだった。

 四千億ドル(約四十五兆円)規模ともされるシリア復興事業でのビジネスを期待し、今年八月にダマスカスで六年ぶりに開かれた国際見本市には約四十カ国の企業が殺到。しかし、契約を優位に進められるのはアサド政権の後ろ盾となってきたロシアの各企業だ。

 和平協議もロシアに主導権が移りつつある。プーチン氏が提唱したシリア各勢力による「国民対話会議」は来年一月末、ロシア南部ソチで開かれる見通し。国連が仲介するジュネーブでの和平協議が停滞する中、ロシアには戦後体制の流れをつくる狙いがある。

 ロシアは二〇一五年九月末、シリア内戦で空爆を開始。シリア全土の約二割にまで支配地を減らしていたアサド政権軍は一気に息を吹き返す。プーチン氏は「ロシア軍がシリア軍と協力して二年ほどで、最も戦闘力がある国際テロ組織に打ち勝った」と成果を強調。ロシア国内では、ナチス・ドイツを相手にした第二次大戦の勝利になぞらえる声さえ聞かれる。

 シリアへの軍事介入を通じてプーチン氏は、政治的な立場や宗教を超え、中東各国の首脳らと会談や電話協議を重ねた。親アサド政権のイランに加え、反体制派を支援してきたトルコ、サウジアラビアも、いまやロシアの意向をうかがう。

 トランプ米大統領はイランと二年前に結んだ核合意を批判し、エルサレムをイスラエルの首都と一方的に認定。オバマ前政権時には明確だった「アサド退陣」の要求もあいまいにした。中東各国の疑念を招いた米国に対し、プーチン政権の影響力は増大。ロシアの政治学者、アサフォフ氏は「政治的な立場が一貫するロシアへの信頼感が相対的に高まった」と指摘する。

 内戦の終結は、難しい政治調整の始まりでもある。ただ、シリア復興でロシアの存在が突出すれば、欧米各国との協調は遠のく。

 ロシア科学アカデミー米国・カナダ研究所のシュミリン中東紛争分析センター長は「ロシアが言う『勝利』は和平の道にはつながっていない。プーチン氏が(復興に向けた)役割を果たせるかどうかは疑問だ」と話している。 (モスクワ・栗田晃)

  =おわり

 

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