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【国際】

韓国、自殺歯止めなく 芸能人や高齢者顕著 先進国最悪

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 日本でも人気の高い韓国アイドルグループ「SHINee(シャイニー)」のメンバー、ジョンヒョンさん=享年(27)=が十八日に自殺し、国内外に衝撃が広がった。近年、世界的に人気が広がるK−POPだが、独特の育成システムの問題を指摘する声も。韓国は国全体でも自殺率が高く、予防対策が急がれている。 (ソウル・境田未緒)

◆過酷な競争

 SHINeeは二〇〇八年にデビュー。新人賞を総なめし、以降も国内外で活躍してきた。メインボーカルのジョンヒョンさんは作詞作曲を手掛け、他の歌手にも楽曲を提供している。

 死の翌日、友人の歌手が生前に本人から頼まれたという「遺書」を公開。ジョンヒョンさんがうつ病で治療を受けていたことなどが分かった。

 ドラマ「冬のソナタ」で知られた俳優パク・ヨンハさん=享年(32)=をはじめ、韓国芸能界では自殺が少なくない。だが第一線で活躍し、私生活でのトラブルもほとんどなかったトップアイドルだったため、韓国アイドルの環境に国内外のメディアが目を向けた。

 韓国のアイドルは、芸能事務所がオーディションなどで選んだ十代半ばの若者を練習生として育て、グループでデビューさせるのが一般的。練習生は数年間、合宿生活をしながら歌やダンスを学び、過酷な競争を経てデビューを果たす。デビュー後も生き残れるのは一部だ。

 ソウル大の郭錦珠(クヮククムジュ)心理学科教授は「青少年期は同年代の中で人間関係を築く技術を学ぶことが重要だが、アイドルはグループの中だけに限られ、そこでも競争があるためストレスが大きい」と指摘する。

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◆低い予防意識

 韓国は、人口十万人当たりの自殺者が経済協力開発機構(OECD)加盟の先進国の中で最も高く、二〇一六年は二五・六人だった。最近は、予防の重要性が指摘され減少傾向にあるが、日本の一七・三人を大きく上回る。郭教授は「経済発展に伴い自殺率は高まる。欧州などでも自殺が増え、減らすために努力をしたが、韓国では政策が追いついていない」と指摘する。

 うつ病に対する否定的な考えや、自殺を個人の問題とする考えも社会に根強く残る。自殺予防の関連予算は年間約百億ウォン(約十億円)で、日本の七百五十億円の1・3%にすぎない。

 高齢になるほど自殺率が高くなるのも特徴だ。韓国では高齢者の貧困率が高く、公的機関の中央自殺予防センターによると、自殺の理由は病気など身体的問題が最も多いが、独居や経済的な問題も絡んでいるとみられる。

 郭教授は「アイドルも高齢者も、他人とあまりにも比較しすぎて問題が起きている。比較するエネルギーを自分の幸せを探すエネルギーに変えなくてはいけない」と話す。

 

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