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【国際】

正恩体制初の核実験後に「作戦計画」 北朝鮮「準戦時」備え

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 【北京=城内康伸】北朝鮮の治安機関・人民保安省の地方組織が二〇一三年三月、戦時状態に次ぐ「準戦時状態」に備えた「準戦時作戦計画」を作成していたことが、本紙が入手した内部文書で分かった。北朝鮮が通算三回目で金正恩(キムジョンウン)体制では初となる核実験の直後で、米韓合同軍事演習も行われていた最中に作成。現在と酷似する緊迫した朝鮮半島情勢下で、北朝鮮の各組織が情勢のさらなる緊迫化に備えていたことが明らかになった。

 内部文書は、平壌(ピョンヤン)に隣接する黄海南道(ファンヘナムド)の郡人民保安署が作成した「極秘」資料で、上部機関である黄海南道人民保安局の局長が承認している。

 作戦計画は「戦時動員令が下りれば、直ちに戦時体系に移行できるよう、組織的対策を立てた文書を備えるべきだ」という金正恩軍最高司令官(朝鮮労働党委員長)の言葉を冒頭で紹介。保安署の任務として、金日成(キムイルソン)主席と金正日(キムジョンイル)総書記の遺体を安置する錦繍山(クムスサン)太陽宮殿と党中央委員会の死守を第一に掲げた。「敵」の空襲を撃退し、人民軍と協力して、敵の特殊部隊やスパイによる破壊工作、「不純敵対分子」を徹底的に消滅する、としている。

 「正恩同志を決死擁護する事業」の項目では、「破壊工作分子」の目標となり得る重要道路、鉄道、重要地帯を現地調査し、護衛事業の安全性を確保することを強調。さらに、治安機関末端組織の分駐所が、体制に不満を持つ者や「有事の際に反旗を翻す可能性がある者」を徹底して把握・監視統制するよう要求。「危険対象者」を遠隔地へ追放する措置も明記している。

 北朝鮮は当時、二月の核実験を受けた国連安全保障理事会の制裁強化決議や三月一日からの米韓演習に反発し、挑発的な言動を繰り返した。

 三月五日には軍最高司令部が朝鮮戦争休戦協定の完全白紙化を表明。二十一日には訓練とみられる空襲警報が発令された。

 軍最高司令部は同月二十六日、軍部隊の「一号戦闘勤務態勢入り」を宣言。三十一日には、党中央委員会総会が開かれ、核開発と経済建設の「並進路線」を打ち出した。「準戦時状態」の発令は確認されていないが、内部文書は北朝鮮が体制内の引き締めを図っていたことを浮き彫りにした。

 <北朝鮮の準戦時状態> 朝鮮人民軍最高司令官の命令で宣言され、軍や民間分野で戦時に準じた警戒態勢が敷かれる。1983年と93年に米韓合同軍事演習「チームスピリット」に対抗する形で宣言されたほか、2015年8月には、北朝鮮が仕掛けたとされる地雷爆発事件で南北が対立、南北軍事境界線付近の前線地帯に22年ぶりに宣言されるなど、北朝鮮は過去に少なくとも5回宣言している。

 

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