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【国際】

イラン 進まぬ景気回復、軍事偏重批判も

 【カイロ=奥田哲平】短期間に急拡大したイランの反政府デモは、二〇一五年の核合意を実現したロウハニ政権に大きな打撃だ。根底には、物価高に苦しむ国民生活がないがしろにされているとの不満がある。デモ隊からはシリア内戦など地域紛争への介入主義に対する批判の声も強く、イスラム教シーア派の覇権を拡大してきた国家戦略にも影響する可能性が出てきた。

 AFP通信によると、政府は三十一日、国民約八千万人の半数が利用する無料通信アプリ「テレグラム」などがデモを扇動しているとして利用を制限。ラハマニファズリ内相は国営メディアを通じて「秩序を混乱させ、法律を破る者は代償を払う必要がある」と警告し、沈静化に躍起だ。

 学生らが治安部隊と衝突するなど三十日、デモが拡大した首都テヘラン。観光ガイドの男性(42)は本紙取材に「卵一個が三百リアル(約一円)から三倍近くになった。ロウハニ大統領は外交には熱心だが、貧困層に目を向けていない」とデモに理解を示しつつ、「混乱が広がり、どんな事態が起きるのか心配だ」と漏らした。

 複数の住民によると、不満を高めた発端は一八年度政府予算案だ。福祉費の現金支給分(二百三十兆リアル)は前年比45%減となり、燃料価格が一・五倍に引き上げられた。一方で、対外工作を担う軍事組織「革命防衛隊」への予算が増強された。

 イランは、シリア内戦に革命防衛隊を派遣してアサド政権を支え、レバノンではシーア派主義組織ヒズボラを支援。イエメンでも反政府武装組織フーシ派への武器供与が指摘される。シーア派の「守護者」として影響力を拡大した一方、シリアでは二千人以上が戦死するなど、軍事偏重への批判もくすぶる。

 一七年八月に二期目をスタートさせたロウハニ師は、海外投資を呼び込み、雇用を創出することでインフレ抑制や景気回復につなげる道筋を描いた。しかし、イラン敵視を鮮明にするトランプ米政権の動向を見据え、投資が進んでいない現状がある。地元紙記者は「景気回復を期待したが、何も変わっていない。加えてトランプ米政権から脅しを受け、国民は希望を失いつつある」と指摘した。

 デモ参加者の抗議は、経済難への不満からイスラム革命体制への批判という政治色が濃い内容に変容している。首都テヘランはロウハニ師支持の穏健派や改革派が多い。保守強硬派が占める治安部隊が今後、厳しい弾圧などに出れば、ロウハニ師は苦しい立場に追い込まれる。

 

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