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【国際】

<トランプ的世界>(5)中国 「米国第一」の対抗軸

北京の人民大会堂で先月1日、「中国共産党と世界政党ハイレベル対話会」の開幕式に臨む習近平氏(中)と各国の政党代表ら=共同

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 「中国は責任ある大国として、国際的な義務と責任を積極的に果たす」。昨年十二月三十一日夜。習近平(しゅうきんぺい)国家主席は国民に呼び掛ける新年の祝辞で、国際的な影響力拡大を目指す姿勢を改めて表明した。

 昨年十月の共産党大会で権力基盤をさらに強固にして二期目をスタートさせた習氏は、「米国第一」を掲げるトランプ米大統領を横目に、世界の新たなリーダーになることを意識した言動が目立っている。

 先月一日に北京で開かれた世界各国の政党が参加したハイレベル対話。百二十カ国、二百人を超す党首らを前に習氏は「人類運命共同体の構築には各国から人民の参加が必要だ」と演説し、中国と各国の協調関係を意味する「人類運命共同体」の必要性を訴えた。

 アジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立し、シルクロード経済圏構想「一帯一路」を提唱する習氏はグローバル世界の「旗振り役」を自任。保護主義的な動きを強める米国との違いを明確に打ち出し、中国を中心とする世界秩序構築への思惑がにじむ。

 トランプ氏による環太平洋連携協定(TPP)脱退を機にアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の実現を急ぐのも米国を意識しているからだ。

 習氏は先月末、日中の与党間交流で訪中した自民党の二階俊博幹事長らと面会。「一帯一路」の参加に熱心な二階氏を取り込み、日中関係改善をアピールする背景には、日米同盟にくさびを打つ狙いもある。

 一方で誤算も相次ぐ。もともと中国は「トランプ氏はビジネスマン。ディール(取引)にたけている大統領は、中国との対立が利益にならないと分かっているはずだ」(中国紙記者)と分析していた。

 昨年十一月にトランプ氏が訪中した際は、故宮で夕食会を開くなど最大限の歓待を演出。米企業との間で二千五百億ドル(約二十八兆円)の契約を合意させ、北朝鮮や貿易の問題を巡る厳しい要求を「封印」することに成功したかに見えた。

 だが、習氏と「良好な関係を築いた」と話したはずのトランプ氏は、その後一転して中国を「ライバル国」と位置付け、習氏のメンツはつぶされた。中国と台湾が不可分とする「一つの中国」の尊重を取り付けたにもかかわらず、米政権は台湾への武器供与を決定。言動が大きくぶれるトランプ氏に、中国の不信感は募る。

 今年は〓小平(とうしょうへい)氏が始めた改革開放路線から四十年。この間に急激な経済発展を遂げた中国は今後、軍事や宇宙開発、科学技術の分野でも「米国超え」を目指す。ただ「責任ある大国」になるには、米国との対抗軸の中身を厳しく問われることも忘れてはならない。 (北京・秦淳哉)=おわり

※〓は登におおざと

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