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【国際】

北、包囲網の分断狙う 南北会談「ほほ笑み戦術」

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 韓国と北朝鮮との南北高官会談が九日、約二年ぶりに開かれ、平昌(ピョンチャン)冬季五輪への北朝鮮代表団派遣や軍事会談の開催などで合意した。核・ミサイル開発による朝鮮半島情勢の緊張をよそに、北朝鮮側は融和姿勢を前面に押し出し、五輪参加をカードに、韓国の取り込みを図った。「ほほ笑み戦術」には、南北関係を国際包囲網の突破口にしようとする思惑が、透けて見える。(北京・城内康伸、ソウル・境田未緒)

 北朝鮮側首席代表の李善権(リソングォン)祖国平和統一委員長は会談冒頭で「全ての同胞に新年初の贈り物、価値の高い結果を差し上げてはどうか」と語り、南北関係改善への意欲を表明した。金正恩朝鮮労働党委員長は一日発表の「新年の辞」で、「北南関係を改善し、今年を民族史に特筆すべき画期的な年として輝かせるべきだ」と強調している。北朝鮮側は正恩氏の主張に沿って、韓国を懐柔し、会談の主導権を握ろうとした。

 北朝鮮は五輪を舞台にして、得意とする宣伝戦術を展開する構えだ。大規模な代表団を派遣して南北友好ムードを演出し、さらには南北合同入場が実現すれば、南北和解と平和に前向きな姿勢を全世界に印象づける絶好の機会になる。

 合意に盛り込まれた芸術団派遣には、女性演奏グループ・牡丹峰(モランボン)楽団が含まれるとみられる。北朝鮮は二〇〇二年の釜山(プサン)アジア競技大会に、若い女性を中心とした応援団を送り、韓国メディアの関心を独占しただけに、今回も韓国内の注目を集め、北朝鮮への警戒感の低下を狙っているのは確実だ。

 韓国統一省は、会談成果について「韓国政府が国際社会との緊密な協力で北朝鮮の核問題を平和的に解決しようと努力をしてきたことに、北朝鮮が呼応した結果」と自賛した。

 しかし、合意を巡って南北は同床異夢、との印象が否めない。韓国側首席代表の趙明均(チョミョンギュン)統一相が、非核化に向けた早期の対話再開を働き掛けると、李氏は不快感を表明。対立が表面化する場面があった。核保有国として米国との軍縮交渉をもくろむ北朝鮮は、核問題で韓国を相手にしない方針を示したと言える。韓国が強く求める朝鮮戦争による離散家族の早期再会にも明確な回答を与えなかった。

 北朝鮮の狙いは米韓同盟にくさびを打つことだ。北朝鮮メディアは今年に入って、韓国批判を控えているが、米国には「相変わらず朝鮮半島情勢の激化にしがみついている」と批判を続けている。今後、韓国を手元に引き寄せたと判断すれば、米韓合同軍事演習の中止を強く迫ることが予想される。

 

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