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【国際】

中国、17年GDP6.9%増 7年ぶり前年の伸び上回る

 【北京=秦淳哉】中国国家統計局が十八日発表した二〇一七年の国内総生産(GDP)は物価変動を除く実質で前年比6・9%増となった。政府が成長率目標とした「6・5%前後」を達成し、減速傾向が続いていた成長率は七年ぶりに前年の伸びを上回った。

 一七年は五年に一度の共産党大会が開催されたため、政府は経済の安定を優先して景気のてこ入れを図ってきた。今後はこの反動もあって緩やかな減速局面に入るとの見方が多い。

 一七年の公共工事や設備投資を示す固定資産投資は7・2%増と前年(8・1%増)を下回ったものの高水準だ。このうち公共部門の大半を占める国有企業投資は10・1%増、民間投資は6・0%増。公共事業がけん引している状況は変わらない。

 不動産開発投資は7・0%増と前年とほぼ横ばいで、特に住宅向けが好調だった。個人消費を示す社会消費品小売総額は10・2%増でネット販売の急増が消費を支えたほか、自動車販売も底堅さを維持した。輸出は10・8%増、輸入も18・7%増と大きく伸びた。

 成長率の目標達成は二年連続。一六年は6・7%と二十六年ぶりの低い伸びにとどまっていた。今年の目標は三月に発表される。一七年の水準に据え置かれるとの見方が多いが達成できるかは微妙で公共事業頼みが続く可能性もある。

◆公共投資頼み、成長演出 旧式モデル脱却できず

18日、記者会見でGDPについて説明する国家統計局の寧吉〓<1>局長=秦淳哉撮影

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 中国の2017年の国内総生産(GDP)は7年ぶりに前年の伸びを上回る6.9%増となった。目標の6.5%前後をクリアして下落傾向に「歯止め」がかかったが、5年に1度の共産党大会を乗り切り、習近平(しゅうきんぺい)体制を強固にするために成長を演出した側面も色濃い。政府の目指す「質の高い発展」には遠い。 (北京・秦淳哉)

 「国民経済は安定して推移し、健全な発展を実現できた」。十八日午後に記者会見した国家統計局の寧吉〓<1>(ねいきちてつ)局長は、中国経済の成長ぶりに自信を示した。

 共産党大会があった一七年は景気失速を避け、安定した経済運営が至上命令。6・5%前後の目標は、確実に達成可能な数字をはじき出したとみられている。GDPの総額は一六年の米国GDPの約三分の二、日本の約二・五倍以上に相当する八十二兆七千億元(約千四百三十兆円)に達した。

 「世界第二位の経済国として米国以上に世界経済に貢献した」(共産党の機関紙「人民日報」)と、中国は誇るが、内実をみると、安い労働力を背景とした輸出や政府主導の大型プロジェクトが「けん引役」。旧式経済発展モデルから脱していない。

 中国を見る諸外国の目は厳しさを増している。一七年の対米黒字は前年比10%増の二千七百五十八億ドル(約三十兆円)と過去最大となった。貿易不均衡の是正を要求していたトランプ大統領が「失望」を表明するなど、米中の貿易摩擦が中国経済に影を落とす可能性が高まっている。

 中国経済に重しとしてのしかかってきそうなのが少子高齢化だ。

 中国の製造業を支える生産年齢(十五〜五十九歳)人口は一〇年代前半をピークにすでに減少に転じている。豊富で安価な労働力を背景にした輸出戦略は早晩行き詰まりそうだ。

 政府は高速鉄道や研究施設整備などの大規模プロジェクトを計画、膨大な公共投資を継続する戦略だ。だが、人口の高齢化の進展で近い将来には社会保障負担なども迫られる見通しで、政府の財政支出頼みの成長もいずれ転換を迫られる。

 中国政府自体も危機感を抱いている。中国は「高速成長の段階から質の高い発展を目指す段階へと切り替わっている」(習国家主席)とし、経済構造の転換を急いでいる。

 中国政府は昨年十二月に人工知能(AI)産業の三年計画を公表。AIを「製造強国とインターネット強国を築くための新しいエンジン」と位置付け全国的に支援する方針を打ち出している。

 大気汚染を背景に、電気自動車生産に力を入れる方針も示す。

 今年は〓<2>小平(とうしょうへい)氏が一九七八年に始めた「改革・開放」から四十年。この間に中国のGDPは二百倍以上に拡大した。成長の急減速を回避しながら質重視の経済に移行できるのか。中国経済は正念場を迎えている。

※〓<1>は、吉を横に2つ

※〓<2>は、登におおざと

 

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