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【国際】

ロシア、影響維持へ密約か トルコのシリア侵攻黙認

昨年12月11日、トルコ・アンカラで共同記者会見後に握手するロシアのプーチン大統領(左)とトルコのエルドアン大統領=ロイター・共同

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 【カイロ=奥田哲平】シリア北西部へのトルコ軍の侵攻に対して、米国やロシアは明確な非難を避けている。複雑な国際関係を背景に、いずれも自国の権益確保に向けたしたたかな計算が働いているもようだ。特に、トルコとロシアの間には、互いの軍事作戦を黙認する密約があったとの見方が強まっている。

 トルコ軍は二十日、クルド人勢力が支配下に置くシリア北西部アフリンへの攻撃を開始した。直前の十八日に、トルコ軍参謀総長がモスクワを訪問。シリアでの軍事作戦を巡る協議が行われたとされる。その前日には、クルド人勢力を支援してきた米国がシリアへの長期駐留の方針を明らかにしていた。

 トルコは、シリア内戦で支配地域を拡大したクルド人勢力「民主連合党」(PYD)を、国内の非合法組織「クルド労働者党」(PKK)と一体のテロ組織とみなして敵視。シリアへの侵攻を、自国の安全保障を盾に正当化する。

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 一方のロシアは、自らが後ろ盾となって内戦での優位を盤石にしたシリアのアサド政権を、内戦後も維持し、シリアへの米国の影響力を排除する狙いがある。

 トルコが軍事侵攻に踏み切った二十日、アフリンに駐留するロシア治安部隊は撤退し、トルコ軍の領空侵入を容易にさせた。一方、同じ日には、ロシアが軍事支援するアサド政権軍が北西部イドリブ県で、トルコの支援を受ける反体制派の支配するアブ・ドフール軍用空港などを制圧。トルコとロシアが互いの作戦を黙認した可能性が高い。

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 トルコ軍から領土を侵犯されたアサド政権は、表向きは「野蛮な侵略だ」とトルコを非難したが、シリア北部で自治拡大を目指すPYDの力をそぐには、トルコの軍事作戦は渡りに船の格好だった。

 レバノンの政治評論家ファイズ・アグール氏は「アサド政権に国境を警備する余力はなく、トルコの協力が欠かせない。そのトルコは、クルド勢力掃討を優先してアサド政権打倒という当初の目標を放棄した。各国が国益確保のために取引したとみるべきだ」と指摘する。

 

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