東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

クルド、遠のく自治拡大 トルコのシリア侵攻 米「黙認」

写真

 【カイロ=奥田哲平】シリア北西部アフリンへのトルコ軍の侵攻を巡り、アフリンを支配する少数民族クルド人勢力が孤立感を深めている。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦で最前線に立ったにもかかわらず、米国はトルコとの関係に配慮し、侵攻を事実上黙認。クルド勢が目指す自治権拡大も遠のいた形だ。

 クルド人民兵組織が主体のシリア民主軍(SDF)のムスタファ・バリ報道官は二十六日、本紙の電話取材に対し、「米国はじめ国際社会は、なぜ黙ったままなのか」といら立ちを抑えきれない。SDFはIS掃討作戦で、米軍主導の有志国連合と連携し、ほぼ壊滅に追い込んだ。戦死者は昨年だけで約千人に上る。

 多大な犠牲を払ったクルド側の狙いは、内戦でシリア全土の四分の一まで広げた支配地域での自治権拡大だ。政治部門「民主連合党」(PYD)は、二〇一六年三月に連邦制を導入すると一方的に宣言。昨秋から各自治体ごとに選挙を行い既成事実を積み重ね、今月十九日に「国会」に当たる議員選挙を予定していた。

 だが、アフリン攻撃が迫っていた今月初旬、「国会」選挙の延期が決まった。アフリン行政評議会のヒヴィ・ムスタファ共同議長は本紙の電話取材に「選挙の延期は準備に時間がかかったため」としつつも「今回の攻撃でいつ実施できるか不透明になった」と懸念する。アフリンでは一般市民が義勇兵として集められ、選挙どころではないという。

写真

 一方、トルコはPYDを「テロ組織」とみなし、米国に支援停止を要求。約束を取り付けたとしているが、米国は態度を明らかにしていない。背景には、北大西洋条約機構(NATO)加盟国トルコとの決定的な対立を避けたいとの意向が働いているとみられる。

 事態を打開するため、PYDは二十五日、連邦化に向け、本来は距離を置きたいはずのアサド政権に、トルコ軍から国境を守るよう軍事介入を呼び掛けた。だが、今のところ返答はなく、孤立無援が続いている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報