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【国際】

「力による平和」へ核増強 トランプ大統領 一般教書演説

 【ワシントン=後藤孝好】トランプ米大統領は三十日夜(日本時間三十一日午前)、連邦議会の上下両院合同会議で、昨年一月に就任してから初めての一般教書演説を行った。政権二年目もメキシコ国境への壁建設や貿易赤字の解消を目指す考えを強調。北朝鮮の金正恩体制を「非道な独裁政権」と批判した上で、核・ミサイル開発の阻止に取り組む決意を表明し、核廃絶は非現実的との考えも示した。

 演説のテーマは「安全で強く、誇り高い米国の建設」。大型減税を伴う税制改革や規制緩和といった実績を誇示し「米国の新たな時代の到来だ。中間層や中小企業の負担を大きく軽減し、すでに労働者三百万人が減税の恩恵を得ている」とアピールした。

 安全保障政策では「米国に挑戦する『ならず者国家』やテロリスト、中国、ロシアのようなライバルにわれわれは直面している」と指摘。「比類のない力が防衛の最も確実な手段だ。核兵器を近代化して再構築しなければならない」と述べ、核戦力を増強して「力による平和」を堅持する考えを強調した。

 北朝鮮の核・ミサイル開発には「間もなく米本土を脅かす可能性がある。それが起こらないように最大限の圧力をかけている」と主張。北朝鮮に約一年半拘束され、帰国後に死亡した米国人大学生オットー・ワームビア氏の問題などを取り上げて非難した。

 過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討では、イラクやシリアの主要都市を奪還した成果に触れて「われわれはISを打倒するまで戦い続ける」と表明。

 通商政策では「経済的に屈服する時代は終わった」と強調。環太平洋連携協定(TPP)などを念頭に「今後は公正で互恵的な貿易関係にする。悪い通商協定を正し、新たな交渉を始める」と述べた。

 不法移民対策では、メキシコ国境に壁を建設する必要性に言及。親に連れられて子どもの時に不法入国した若者「ドリーマーズ(夢見る人々)」の救済策を含む移民制度改革も提示し、民主党に壁の予算計上への協力を呼び掛けた。

<一般教書演説> 米大統領が憲法規定に基づき、年頭に国の現状や、向こう1年間の内政・外交政策全般について上下両院に説明する演説。主要テレビ局が生中継するのが慣例。三権分立が厳格に規定されている米国では、行政の長である大統領は法案提出権を持たず、一般教書を通じ議会に自らの政策の実行を求める形式が取られる。予算教書、経済報告と並んで「三大教書」と呼ばれる。 (共同)

◆「核なき世界」 理想遠のく

 トランプ米大統領は三十日の一般教書演説で、「核兵器の近代化と再建が必要だ」と強調した。核・ミサイル開発を進める北朝鮮が米本土を攻撃する可能性が現実味を帯びる中、保有核兵器の増強を目指すものだ。オバマ前政権が目指した「核兵器のない世界」の理想はさらに遠のき、各国との軍拡競争をあおりかねない。トランプ氏は演説で、「世界中から核兵器をなくす魔法のような時が来るかもしれない」と述べた半面、「残念ながら、われわれはまだそこには至らない」と強調した。

 先に国防総省がまとめた「国家防衛戦略」では、北朝鮮やイランを「ならず者国家」と評し、中国やロシアの台頭を「修正主義勢力」と批判。これら世界の脅威に対抗するために、米軍再建と核戦力の近代化の必要性に触れていた。トランプ政権の核兵器近代化へのこだわりは根強い。

 近く公表する核戦略の中期指針「核体制の見直し」(NPR)でも、核兵器を非合法化する核兵器禁止条約を「完全に非現実的」として、低爆発力の小型核の新規開発などを打ち出す見通しで、各国との軍拡競争が過熱すれば、偶発的な核戦争の恐れはさらに増す危険性をはらむ。 (ワシントン・石川智規)

 

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