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【国際】

「安倍首相は批判すべきだ」 核実験禁止条約の批准否定

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 核兵器の役割拡大の方針を盛り込んだトランプ米政権による新たな核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」について、核政策に詳しい米シンクタンクの軍備管理協会のダリル・キンボール会長(53)に聞いた。 (ワシントン・後藤孝好)

 −NPRの評価は。

 「核兵器の数と役割を減らそうとする長年の世界的な努力を無にして、トランプ米大統領がより積極的、衝動的に核を使用できるようにする内容だ。サイバー攻撃などへの反撃に核の使用を拡大するのは核戦争の危険を増大させ、他の核保有国にも核の役割を拡大させることを容認することにつながってしまう」

 −核増強の理由にロシアや中国への対抗を挙げた。

 「米軍は今も世界最強で、他国に軍事力で後れを取っているというのは間違いだ。核を増強すれば、抑止力が強化されるという証拠はない。逆に中ロの軍拡をさらに加速させ、偶発的な軍事衝突の可能性を増大させるだけだ。核のリスクの軽減には、米国の積極的な軍縮のリーダーシップが欠かせない」

 −NPRは昨年採択された核兵器禁止条約を批判している。

 「条約は壊滅的な惨事を招く核の使用の危険性を減らし、軍拡競争を終わらせるための誠実な努力で、むしろ歓迎すべき取り組みだ。米国こそ核保有国に対して核軍縮を誠実に交渉する義務を課した核拡散防止条約(NPT)第六条を忘れてしまっている」

 −日本政府はNPRをどう受け止めるべきか。

 「日本が早期発効を強く訴えてきた包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を否定した米国の対応について、安倍晋三首相は批判してしかるべきだ。米国が核軍縮の役割を果たさないなら、日本は非核保有国でつくる『軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)』の各国と協力し、核兵器のない世界の実現に向けて、外交努力の新たな一歩を踏み出す必要がある」

<包括的核実験禁止条約(CTBT)> 核爆発を伴うあらゆる核実験を禁止する条約。1996年に国連で採択され、これまで180カ国以上が署名。発効には研究・発電用の原子炉を保有する44カ国の批准が必要だが、米国、中国、イランやイスラエルなどが批准していないため36カ国にとどまり未発効。インド、パキスタン、北朝鮮は署名していない。

 

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