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【国際】

新START目標達成も米ロ、核軍縮に逆行 延長交渉見通せず

 米国とロシアが核軍縮を巡り二〇一〇年に調印した新戦略兵器削減条約(新START)の発効から七年となった五日、米ロ両国はそれぞれ配備戦略核弾頭の削減などの目標を期限までに達成したと発表した。しかし、トランプ政権が増強を打ち出した新核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」にロシアは強く反発。ウクライナ危機以降、対立を深める米ロ両国は核軍縮に逆行する動きを強めており、条約の延長交渉は見通せない状況だ。

 【ワシントン=後藤孝好】米国務省のナウアート報道官は五日、新STARTで合意した削減期限に合わせて声明を発表し、「米国は昨年八月に削減目標を達成した。条約に基づく今後のデータ交換でロシアの削減が確認できることを期待する」と将来的な履行継続に期待感を表明した。

 新STARTは二〇一一年二月に発効。米ロが七年以内に戦略核弾頭の配備数を千五百五十発、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの核運搬手段の配備数を七百(総数は八百)にそれぞれ制限する内容。米国は弾頭配備数を千三百九十三発まで、運搬手段配備数を六百六十まで削減したとしている。条約は二一年二月に有効期限が切れるが、延長交渉の見通しは立っていない。

 トランプ政権が二日に公表したNPRでは、ロシアが新STARTの対象外である射程の短い戦術核の配備を進めていると批判。米国は対抗手段として、核兵器の使用条件を緩和するとともに、SLBMに用いる小型核などの開発を推進する方針を表明した。

 「核兵器なき世界」を掲げたオバマ前大統領は、新STARTの対象外の戦術核に関しても、上限の設定を呼び掛けたが、大量に保有するロシアの反対で実現しなかった。トランプ大統領は小型の戦術核を含む核増強に方針転換し、ロシアに軍拡競争を挑んで抑止する構えで、戦略核を中心とする新STARTも延長交渉は容易ではない。

◆ロ、米の核体制に「失望」

 【モスクワ=栗田晃】新STARTについて、ロシア外務省は五日、「削減義務をすべて履行した」とする声明を発表した。

 声明によると、ロシアは五日時点で、戦略核弾頭の配備数を千四百四十四発、ICBMやSLBMなど核運搬手段の配備数を五百二十七(総数は七百七十九)まで削減した。条約の支持を表明し「米国側には、建設的で双方が受け入れ可能な対策の継続を求める」と述べた。

 だが、米国のNPRに対し、ロシア外務省は三日、「深く失望した。反ロシア的な方針だ」と批判する声明を発表している。NPRで指摘されたロシアの「攻撃的な核戦略」は事実ではないとして、米国が核兵器の使用条件を緩和したことを「小規模の衝突でも核戦争につながる可能性を高めた」と懸念。「必要な措置をとらざるを得ない」と対抗意識をあらわにした。

 関係が悪化した米ロは最近、冷戦末期に米国と旧ソ連が締結した中距離核戦力(INF)廃棄条約について、互いの条約違反を主張しており、ロシア紙・独立新聞は五日付の朝刊で、専門家の見解を引用し「INF条約が破綻すれば、新START条約も破綻する」と指摘した。

 

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