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【国際】

南北、「間接的」首脳会談 文大統領と代表団

10日、ソウルの韓国大統領府で会談する文在寅大統領(右手前から3人目)と北朝鮮の金永南・最高人民会議常任委員長(左手前から3人目)、金与正氏(同2人目)=聯合・共同

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 【ソウル=上野実輝彦】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は十日、平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開会式出席のため訪韓している北朝鮮の金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長を団長とする高官代表団とソウルの大統領府で会談した。代表団には金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キムヨジョン)党第一副部長も含まれ、南北首脳会談に近い様相となった。 

 代表団は午前十一時ごろ、韓国大統領府に到着。与正氏は青い表紙の書類のようなものを携えて部屋に入り、代表団の第二席として金永南氏の隣に座った。

 文氏は会談の冒頭、代表団と笑顔で握手し「昨日は寒い中、夜遅くまでお疲れさまでした」と声をかけた。与正氏は「大統領に気遣いいただいたおかげで、大丈夫でした」と応じた。

 北朝鮮最高指導者の直系親族の訪韓は初めてで、与正氏がさらなる南北関係改善を求める正恩氏の親書を渡したり、口頭でメッセージを伝える可能性もある。韓国では、正恩氏が代表団を通じ、北朝鮮建国七十周年の九月九日などに合わせて文氏の訪朝を招請するとの観測も流れる。

 会談が韓国の取り込みを図る北朝鮮側のペースで進めば、日米と韓国との連携に亀裂が生じる恐れも懸念される。

 与正氏や金永南氏は五輪開会式の会場や歓迎レセプションで文氏と握手を交わすなど、南北融和ムードを演出した。

 北朝鮮の朝鮮中央通信は十日、代表団が政府専用機「チャンメ(オオタカ)2号」でソウル郊外の仁川(インチョン)空港に到着、韓国の趙明均(チョミョンギュン)統一相の出迎えを受けたと報道。金永南氏がレセプションで文氏と和やかなあいさつを交わしたと紹介した。

◆韓国の譲歩狙う

 【ソウル=城内康伸】平昌冬季五輪の開会式出席のため、北朝鮮が韓国に派遣した高官代表団メンバーは、団長で序列二位の金永南最高人民会議(国会に相当)常任委員長や金正恩氏の妹、与正氏など名実共にトップレベルの顔触れがそろう。北朝鮮は南北関係改善の本気度を示し、韓国のさらなる譲歩を引き出して、制裁圧力を強める日米との離反を狙っている。

 金永南氏は朝鮮労働党最高幹部である政治局常務委員の一人。外相をはじめ外交の要職を歴任し、対外的には国家元首の役割を担う。故金日成(キムイルソン)主席と金正日(キムジョンイル)総書記、金正恩党委員長の三代にわたって粛清に遭うことなく仕えてきた。

 与正氏は事実上の代表団トップ。韓国では当初、「正恩氏が肉親を訪韓させるのはリスクが大きすぎる」と派遣を見送るとの見方もあった。正恩氏に直言できる唯一の人物であり、韓国メディアは今回の会談を「間接的な南北首脳会談」と評する。

 崔輝(チェフィ)党副委員長は、スポーツ政策を統括する国家体育指導委員長。昨年後半まで、党の思想・政策の徹底を図る宣伝扇動部の第一副部長を務めており、北朝鮮関係者は「五輪参加のシナリオを描いた中心人物のひとりではないか」と推測する。

 韓国に対する窓口機関である祖国平和統一委員会の李善権(リソンクォン)委員長は軍出身で長く韓国との軍事交渉に携わった。硬軟織り交ぜた交渉術にたけ、五輪参加を決めた一月の南北高官会談で北朝鮮首席代表を務めた。

金永南氏=共同

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<金永南氏> 対外的「元首」

最高人民会議常任委員長。朝鮮労働党政治局常務委員。

党序列2位。90歳。

金与正氏=コリアメディア提供・共同

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<金与正氏> 金正恩氏の妹

党第1副部長。

金正恩氏の補佐役として、高い存在感。

 

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