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【国際】

イタリア、移民議論過熱 来月4日総選挙 争点急浮上

 【パリ=竹田佳彦】三月四日に行われるイタリア総選挙で、経済対策などに比べて国民の優先度が低かった移民対策への注目が高まっている。今月三日に極右思想の男による移民への銃乱射事件が発生したことを機に、総選挙の争点として議論が過熱。右派政党は移民を受け入れてきた民主党政権への不満が事件の背景にあると批判し、左派は「憎悪をあおっている」と反発している。

 中部マチェラータで三日、政党「同盟(北部同盟から改称)」の候補者として地方選挙に立候補したこともある警備員ルカ・トライニ容疑者(28)が銃を乱射し、アフリカ出身の移民六人が負傷した。数日前にイタリア人女性(18)の遺体が見つかり、難民申請中のナイジェリア人の男が逮捕された事件への報復だと主張した。

 イタリアは二〇一四年以降、中東やアフリカから移民・難民六十万人以上を受け入れた。欧州連合(EU)主要国が受け入れ制限をする中、負担感が高まっている。

 事件後、中道右派連合の一角を占め、反移民・反EUを掲げる「同盟」のサルビーニ書記長は「非難されるべきは不法移民の流入を許している政府の対応だ」と持論を展開。中道右派「フォルツァ・イタリア」のベルルスコーニ元首相も「移民は社会的な爆弾だ」と述べ、政権への批判を繰り広げた。

 一方、中道左派の与党、民主党所属のジェンティローニ首相は「憎悪と暴力の連鎖に歯止めをかけよう」と呼びかけた。左派各党も「サルビーニ氏は恐怖と混乱を生み出している」と非難したが、有効な移民対策を示せていない。

 世論調査で支持率トップの新興政治組織「五つ星運動」は移民政策で党内が割れており、ディマイオ党首は事件数日後「非人道的な犯行だ」と述べるにとどめた。

 首都ローマ中心部では、「トライニに名誉を」と銃撃事件の容疑者を擁護する横断幕が一時掲げられた。弁護士はAFP通信に「彼を称賛し、連帯を示すメールが相次いでいる」と話す。一方で、人種差別や移民排斥に反対するデモも各地で開かれ、議論は高まりを見せている。

 調査会社IPRマーケティングのアントニオ・ノト氏はイタリアのメディアで「イタリア人と移民の間に高い壁ができつつある」と述べ、移民排斥の動きの広がりに警鐘を鳴らした。

<イタリア総選挙の仕組み> 上院315(終身議員を除く)と下院630の全議席を改選。2017年11月に選挙制度改革法が成立し、18年3月4日投開票の今回総選挙から新しい仕組みが適用される。これまでの完全比例代表制から並立制に変更となり、議席の36%を小選挙区で、64%を比例代表で選出する。最も多く得票した政党や政党連合に一定の議席が与えられる「ボーナス制」もなくなった。投票権は上院が25歳以上で、下院が18歳以上。 (ローマ・共同)

 

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