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【国際】

シリア難民、広がる不安 トルコ大統領「母国へ帰れる」

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 シリア国内の戦闘を避け北隣のトルコへ逃れた難民の間で、トルコ当局によってシリアへ送り返されるのではないかとの不安が広がっている。トルコのエルドアン大統領は先月下旬「国境からクルド人武装勢力を一掃し、難民が母国へ戻ることができると確信する」と発言した。だが、シリアは各地で混乱が続き、治安回復には程遠い状況だ。

 (トルコ・イスタンブールで、奥田哲平)

 「トルコ軍が戦っているのに、なぜおまえは戦争に参加しないのか」。イスタンブール郊外の住宅街に一家五人で暮らす運送業サーメル・ダハドゥハさん(32)は最近、通り掛かりのトルコ人から嫌みな言葉を投げ掛けられた。

 シリア北部アレッポの出身。民主化デモに参加して政権側に一カ月間拘束され二〇一三年に公判が始まる前にトルコへ脱出した。アレッポは反体制派との激戦の末に一六年十二月に政権軍が掌握しており、帰還すれば再び拘束される可能性がある。「死を恐れて逃げてきたシリアへ強制的に戻されるのだろうか」。エルドアン発言に不安が募る。

 国外へ逃れた五百万人以上のシリア難民のうち、トルコは約三百五十万人を受け入れる最大の支援国。先月二十日に始まった軍事侵攻は、「テロ組織」とみなすクルド勢力の排除を目標に掲げる。一方で、比較的寛容だった難民政策を転換したともみられている。

 トルコは一六年三月に欧州連合(EU)と難民抑制策で合意。難民の渡欧は難しくなり、シリアの戦闘長期化とともにトルコ国民の間で難民への嫌悪感が高まっている。背景には、低賃金で働く難民に雇用を奪われたとの不満や、過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員がシリアから流入し、テロを起こすとの懸念がある。

 トルコ政府にとっては年間三百億ドル(三・二兆円)に上る難民支援も重荷だ。複数の難民によると、警察は街頭で一時滞在許可証や所持品の検査を強化。滞在許可の新規発行は昨年十月に停止された。

 

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