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【国際】

シリア時限停戦 実効性乏しく 政権、攻撃を継続

シリアの首都ダマスカス近郊の東グータ地区で25日、破壊された建物の前を歩く人々=ロイター・共同

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 【カイロ=奥田哲平】深刻な人道危機に陥っているシリアの首都ダマスカス近郊の反体制派支配地域、東グータ地区で二十七日、ロシアが提案した一日五時間(午前九〜午後二時)の時限停戦が始まった。しかし、シリア人権監視団(ロンドン)によると、停戦開始後もアサド政権軍の攻撃で子どもを含む五人が死亡。一部の反体制派は一方的な停戦に反発を強めており、取り残された民間人の避難が進むかは予断を許さない。

 人権監視団によると、二十七日朝は戦闘がおおむね収まったが、反体制派の一つ、「アハラール・シャム」のモンゼール・ファレス報道官は本紙取材に「午前十一時に政権軍からの砲撃が再開された」と述べた。国連人道問題調整事務所の広報官は、東グータでの戦闘継続を確認、「避難用の車両が出入りできる状況ではない」と述べた。

 東グータでの二十七日からの時限停戦は、シリアのアサド政権軍の後ろ盾であるロシアのプーチン大統領が二十六日に指示。国連安全保障理事会が二十四日に採択したシリア全土での三十日間の停戦決議に基づき、民間人が避難するための「人道回廊」も設けた。

 ロイター通信によると、ロシア軍は、反体制派が民間人の脱出路を砲撃し、避難を妨げていると非難するなど情報が錯綜(さくそう)している。東グータは二〇一三年以来、四十万人近い住民が包囲下に置かれる。住民のアラ・アフマドさん(24)は本紙に「負傷者を搬送しようとしたが、砲撃が続いているので戻った。負傷者は脱出しても政権軍に拘束されるのではないかと恐れている」と訴えた。

 最有力の反体制派「イスラム軍」の幹部ムハンマド・アルーシュ氏は「ロシアは停戦の名の下に住民を強制移住させるつもりだ。われわれは国連決議だけを信用している」と反発を強めた。

 国連安保理の停戦決議採択後も政権軍による攻撃がやまず、東グータでの死者は十八日以降で五百七十人超。アサド政権軍を軍事支援するロシアへの対応を求める声が高まっていた。

◆トルコ 国境完全制圧

 【カイロ=奥田哲平】ロイター通信によると、クルド人勢力が支配するシリア北西部アフリンに軍事侵攻しているトルコ軍は二十六日、二百五十キロに及ぶ国境地帯を完全に掌握した。

 シリア人権監視団(ロンドン)によると、トルコ軍はアフリン地域全体の22%に当たる八十七カ所の村落などを制圧。アフリン市街地への侵攻を想定して警察の特殊部隊も派遣した。エルドアン大統領は二十日、近くアフリン市街地を包囲する考えを示していた。

 トルコ軍は先月二十日、アフリンを実効支配するクルド人民兵組織「人民防衛部隊」(YPG)を、国内で分離独立を目指す非合法組織クルド労働者党(PKK)と一体の「テロ組織」とみなし、軍事侵攻に踏み切った。

 国連安保理が二十四日に採択した停戦決議はシリア全土を対象としている。だが、ボズダー副首相は二十五日、「テロとの戦い」を口実に「アフリン作戦には適用されない」と攻撃を続けると明言した。

 

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