東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

トランプ氏「取引」自信 米朝首脳会談へ

 トランプ米大統領は8日、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長からの首脳会談の要請を直ちに受け入れた。不動産ビジネスで培った取引(ディール)に絶対的な自信を持っていることに加え、独裁国家である北朝鮮の核・ミサイル問題を平和的に解決するには、トップ同士が直談判するしかないという判断がある。 (ワシントン・後藤孝好)

 「よし、会おう」。韓国大統領府高官によると、トランプ氏はホワイトハウスで、韓国の鄭義溶(チョンウィヨン)大統領府国家安保室長から「直接会い、話をすれば大きな成果を出すことができるだろう」という正恩氏のメッセージを伝えられ、うなずいて即答したという。

 正恩氏は米国が対話の前提条件としていた非核化の意思を表明。開催に猛反発していた米韓合同軍事演習の継続も「理解する」と軟化姿勢を示した事情はあるが、事前の折衝もないままに初の米朝首脳会談の開催に合意するのは異例だ。

 「トランプ大統領はディールで名を上げた人物だ。金正恩は独裁的な体制で意思決定をできる唯一の人物で、招請を受けることは理にかなっている」。政府高官は、トップダウンで直接交渉に乗り出した背景をそう説明する。

 北朝鮮は過去の事務レベルの協議で米政権を欺き、経済制裁の緩和や巨額の経済支援の見返りを得て核・ミサイル開発を継続してきた経緯がある。トランプ氏は、北朝鮮が非核化に動くのを待つオバマ前政権の「戦略的忍耐」を転換し、自ら積極的に関与。限定攻撃など軍事行動をいとわない強硬姿勢と、経済制裁を徹底する最大限の圧力で、正恩氏を対話の場に引き込むことには成功した。

 だが、首脳会談の実現に向けた協議を担う人材不足は否めない。ニューヨークの外交チャンネルを通じて北朝鮮側と接触を続けていた米国務省のユン北朝鮮担当特別代表が二日に辞任。駐韓米大使や東アジア担当の国務次官補も空席のままで、外交の司令塔であるティラーソン国務長官も役割を果たせていない。

 北朝鮮は首脳会談に向けた協議で、何らかの見返りを要求してくるのは確実。トランプ氏は、北朝鮮が非核化を実現するまでは対価を与えない方針を示すが、瀬戸際外交の揺さぶりに実務者不在の米国が手玉に取られる懸念もある。

 また、体制維持の生命線として核・ミサイルに固執してきた正恩氏が素直に開発を中止するかどうか疑問が残る。それでもトランプ氏にとってみれば「平和的な解決に向けて手を尽くしたが、核を放棄しない北朝鮮のせいで決裂した」と、軍事行動を正当化できるという計算も働く。

 北朝鮮との主戦論者でトランプ氏と何度も協議している共和党重鎮のグラム上院議員は声明で「正恩氏に警告する。トランプ氏を欺けば、あなたとあなたの政権は終わりだ」と、けん制した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報