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【国際】

カナダ鉄鋼の街 先見えぬ不安 米輸入制限あす発動

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 トランプ米政権による鉄鋼とアルミニウムの輸入制限が二十三日に発動される。最大の鉄鋼輸入相手国カナダは北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉中のため、25%の関税適用は猶予されたがその分交渉で譲歩を迫られるのは必至。オンタリオ州の鉄鋼の街は憂いを深めている。 (スーセントマリー市で、石川智規)

 「どうなるかって? 誰にも分からない。(トランプ大統領の)ツイッターを見ているしかないよ」

 鉄鋼加工メーカー「SISマニュファクチュアリング」を営むトニー・ポルコ社長(59)は、投げやりにこう話した。三月中旬、工場の外は氷点下五度。道路脇には泥で黒ずんだ雪がうずたかく積もっていた。

 ポルコさんの会社の従業員は七十人ほどで、鉄道車両の車台などを製造。取引先は米国のほか豪州や南米地域など世界に広がる。「顧客に懸念が深まれば、こちらの商売にも波及する」。世界的な貿易戦争への懸念が、小さな街の工場の経営を脅かす。

 スーセントマリー市は人口約七万三千人。「アルゴマ製鉄」を中心に、鉄鋼関連産業が市民の経済と雇用を支える。同市商工会議所のローリー・リング会頭(55)は「製鉄所があるからスーパーやレストランも撤退しない。市内経済の70%は製鉄に依存している」と話す。リングさんは製鉄所から上がる煙を眺めながら「関税やNAFTAで製鉄所が破綻したら…」と肩をすくめた。

 米商務省によると昨年の鉄鋼製品輸入量は計約三千四百六十万トンでうちカナダは16%とトップだ。トランプ氏は輸入により「米国の企業と雇用が壊滅的なダメージを受けた」として「国家安全保障上の脅威」を理由に輸入制限を発動。NAFTA再交渉の行方次第でカナダも制限の対象に加える構えをみせる。

 同市選出でカナダ鉄鋼議員連盟に加わるテリー・シーハン下院議員(47)は「カナダと米国は同盟国であり国境は世界で最も長く安全だ」と強調。「われわれは良質な鉄鋼を供給している。敵はカナダではない」と訴えた。

 

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