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【国際】

アッバス議長に健康不安説 米大使を「犬の子」と侮辱

 【カイロ=奥田哲平】パレスチナ自治政府のアッバス議長が演説で、米国のフリードマン駐イスラエル大使を侮辱し、健康不安説に拍車が掛かっている。二十六日に八十三歳を迎えたアッバス氏は後継者を育成してこなかったが、四月末に九年ぶりに開催するパレスチナの最高意思決定機関「民族評議会(PNC)」で、後継者を指名する可能性も出てきた。

 AFP通信によると、アッバス氏は十九日の演説で、フリードマン大使を「入植者で犬の子だ」と痛烈に非難。「犬の子」は、アラブ諸国で相手をののしる際に用いる。パレスチナ自治区でのユダヤ人入植活動を支援する大使は、イスラエル偏向が顕著なトランプ政権の象徴とも言える。

 エルサレムをイスラエルの「首都」と認定した昨年十二月の宣言を受け、自治政府は米国が仲介する中東和平交渉を拒否。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出が一部凍結され、住民からは米国の締め付けを止められないアッバス氏への批判が高まる。一方、自治政府主流派ファタハと自治区ガザを実効支配するイスラム主義組織ハマスが、昨年十月に合意した統一政府の樹立交渉は暗礁に乗り上げた。発言は、内外の閉塞(へいそく)感の表れと受け止められた。

 ただ、中東和平の交渉役を長年務めた老練な政治家にしては汚い言葉遣いが、衰えから自制心を失いつつあるとの臆測を生む。ファタハに近い活動家は「健康状態が良くないのだろう。明らかに時代の終わりが近づいている」と話す。

 アッバス氏は二月に国連安保理で演説後、米国内の病院で急きょ診察を受けた。自治政府は検査結果は良好と説明しているが、心臓病や消化器系のがんなど真偽不明な情報が飛び交う。

 二〇〇五年に自治政府トップに就いたアッバス氏は、選挙を行わずに権力を維持。後継候補にファタハ高官マハムード・アルール氏(68)らの名前が挙がるが、明確になっていない。

 PNC議員のファイサル・シャハラ氏は「アッバス氏は死ぬまで抵抗の象徴であり続ける。ただ後継者争いで混乱を引き起こさないように、新指導部が選ばれるだろう」と指摘している。

 

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